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特集

「奇跡のリンゴ」は、なぜ売れたのか〜「木村秋則」現象を追う〜


そしてもうひとつの突破口として掲げるのが“加工”だ。
 「加工すると、じっくり育てた自然栽培の農産物は、エネルギーがあるのか、アミノ酸値やミネラル分が豊富で、結果としておいしくて、非常に仕上がりがいいんです。加工度の高いものは当然日持ちがよくなるから、農業が健全経営するために加工技術は絶対に必要。ただしそれは農家に限った話ではなく、農家が生産してくれたものを、我われ小売が加工したっていい。だから福島屋の戦略のキーワードのひとつが『製造小売』で、グループは小さいけれど加工度の高いプライベートブランドを扱っているので、業績的にはそんなに悪くないんです」

 加工に可能性を見出す福島社長は、さらなる自然栽培食品の将来について、「最終的にドラッグストアに並ぶような、薬ではなく通常の食で健康を確保する“医食同源”の方向に向かうのでは」と予想する。


■理想の食料品店とは

 確かに自然栽培の商品開発にも力を入れる福島屋だが、「福島屋に来店されるお客さんは、おいしいもの、安全なものなど、いろんな要素を求めているわけで、自然栽培だけを求めて来ているわけではない。だから我われは自然栽培の食品に特化するつもりはありません」と言い切る。それよりも今、世間に欠落している「いい食料品店」を作ることが最大のテーマであり、自然栽培のコメや野菜、加工品はその中のひとつのアイテムとして必要になってくるものだという。

 「いい食料品店とはコマーシャリズムに乗るのではなく、食をちゃんととらえているから安全・安心で、買おうと思った時に買える店のこと。地域に根ざし、地域を理解しながら経営する理想に向かって、自然栽培が一役買ってくれればいい」


PART2 自分 あなたは自分の“農業”を的確に伝えているだろうか?(斎藤 訓之)

食酢を散布している無農薬? そもそも自然栽培の定義とは? 木村氏の周辺には「伝える」ことの難しさが漂う。しかし、あなたは同じ轍を踏んでいないと言えるだろうか?

 この特集を読んでいるあなたのところにも、これまでに村の外からいろいろな人たちが訪ねて来ただろう。親戚や友人、あなたの作ったコメや野菜を買った人、観光のパンフレットを読んだ人などなど。小売業や外食業のバイヤーもやって来る。新聞、雑誌、テレビの取材を受けたという人もいるだろう。

 こうした都市生活者は、普段、アスファルトとコンクリートに囲まれて暮らしている。食事は、家で作って食べることもあるが、外食したり、完成品や半完成品を買って来て食べることも多い。とくにランチがそうだが、朝食や夕食でも、コメを研ぎ、だしを取るところから作るという場面は減っている。それでも、子供の頃は母親の手作りのものを食べて育った人が多いため、そんな食生活に少し罪悪感のようなものや、味気なさを感じている場合もある。

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