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【編集長インタビュー】
商売の場所であると同時に教育の場所であってほしい
- マルシェ・ジャポン全国事務局 事務局長 水野裕敬
- 第74回 2010年09月29日
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伸びていくのは生産者の思いがあるマルシェ
昆吉則(本誌編集長) 最近、マルシェ・ジャポンの認知度がどんどん上がっていますね。事業を開始してからまだ短期間ということですが、これまでの経過を教えてください。
水野裕敬(マルシェ・ジャポン全国事務局 事務局長) 昨年、農水省の補助事業として、仮設型直売システムの普及事業である『マルシェ・ジャポン・プロジェクト』が立ち上がり、全国事業者として(株)ぐるなび、運営者として12社が採択を受けました。その後、11月には行政刷新会議で事業仕分けの対象になりましたが、集客力のある都市型市場として成長し、現在は全国20カ所で定期開催しています。出店者の登録数は多い会場で400組以上になっています。一番規模の大きい青山の会場では、昨年最大40ぐらいだったブースが今は最大50まで増えて、継続している固定の出店者が7割強はいます。
昆 来場者も増えてるんですか?
水野 例えばお台場のビーナスフォート前の会場だと、1日3万人が来場します。ただし野菜を買いに来る人ばかりではないので、来場者数の多さが即ち成功とも限りません。例えば来場者数が3000人くらいの規模でも、リピーターの割合が高くて2000人近くが毎週来るような会場もあります。ある程度周辺に住民のいる地域のほうが、観光地に比べて集客面では成功しやすい傾向にあります。お客さんの数が増えていなくても、運営側がしっかりした思いを持って、いい農家とつながってる会場は、どんどん質が高まっている実感はありますね。
昆 お客さんが注目する生産者はどういうタイプなんでしょう。
水野 まず注目するのはスーパーで見られないものを扱ってるところ。その後リピーターになるにつれて、農家さんの売りかたやキャラクターのファンになっていく感じです。農家さんのなかには一つのマルシェだけでなく、客層の異なる会場をうまく使い分けて、チームを組んで輪を広げている人もいます。
昆 ということは、生産者は自分の地域に出展するだけではない?
水野 そうですね。東京に毎週来る青森の農家さんもいます。マルシェ単体の売上平均は1日約5万円ほどですが、地域では得られない大消費地のメリットを感じるみたいです。たとえば地域だと来場者の顔ぶれがそれほど変わらないけれど、東京では多種多様な人に自分の作った農産物のよさをPRできる。実際、通販商品に派生するケースもあって、売上額以上の効果があるようです。
昆 逆に地方会場のメリットもあるわけですよね。
水野 生産地が近くにあることをPRできるのがメリットですね。実は農家さんが思ってるほど、地元の消費者は近くで魅力ある作物が作られていることを知りません。そうした情報不足があるから、農家さんが「地元はこれぐらいの金額でしか売れない」と思っていても、いざ出店するといい値段で売れることがあります。マルシェでは「新鮮で安いよ」という値段のつけかたではなくて、価値に見合った値段をつけて販売してくださいとお願いしています。
昆 いいメンバーといい食品があれば、どんな場所でもいいマルシェは作れますね。本誌読者にも茨城県の栗園経営者ですが、屋敷の土蔵でコンサートやファッションショーを開催している人がいます。特別な宣伝はしてないのに、お客さんが自分からやって来て最高級の栗を買っていく。地方でも都心でも、同じことができるわけです。日本中に東京があると考えるべきでしょうね。
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水野裕敬 ミズノヒロタカ
マルシェ・ジャポン全国事務局
事務局長
1976年静岡県島田市生まれ。沖縄県育ち。早稲田大学教育学部卒業後、生命保険会社を経て、2003年株式会社ぐるなびに入社。旅行部門「ぐるなびトラベル」を経て、2009年、マルシェジャポンの担当になり、今年の4月から事務局長に就任する。マルシェ・ジャポン公式サイト http://www.marche-japon.org/
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