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私は、軍隊OBの集団会社の一つとなっている花の生産会社に在籍している。ここでいろいろな情報を得られるため調べてみると、合弁会社にいる中国側の人間が黒社会とつながっていることが判明した。温室にかかった7000万円のうちの半分がリベートだったことなど、地元で囁かれている情報も入ってきた。合弁会社の設立時には政府関係者も立ち会ったようだが、その人物は組織の末端にいる何の力もない人で、つまりダミーだった。日本の企業は政府の事務室に通されて話したために信じてしまったのだ。
これを知った友人は中国側の不正を暴こうとしたが、中国側の役員に暴力を振るわれて負傷し、部屋に閉じ込められて出勤できなくさせられた。その上、彼が会社に出勤してこないと日本側に通告され、事情を知らない日本側は訓告処分を行なった。友人は、雲南の果てで味方がいない状態に陥った。
後に、日本側でも相手の素性が明らかになり、合弁会社の閉鎖が決まった。取締役会には日本人を警護するために軍隊も出動したという。最終的に日本側は、会社や温室などを譲渡し、社名を使わないことを条件に手切れ金まで渡すことになった。少なからぬ授業料を払ったわけだが、今でもその社名は使われている。
中国はこういった暗部を内包している。だからこそ人脈が大切だともいわれるが、人脈ほど複雑なものはない。雲南省の省長や上海市の書記ですら汚職でお縄になる。壮絶な権力闘争の中で負けた人がお縄を頂戴する。勝った人も汚職をしていないとは限らない。この戦いは、善や悪を飛び越えたところで行なわれている。こんな実態を日本人は露も知らない。さらに、中国では予想もつかないことが起こるといわれるが、それで失敗した経験が話されることはあまりない。事例が公開されることもほとんどない。日本の企業が中国進出にあたって失敗から学ぼうと思っても、できないのが現状なのだ。
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土下信人 ツチシタノブヒト
1949年愛知県生まれ。95年、沖縄で(有)土下を設立。組織培養技術を活用した苗生産・販売を中心とした農業のコンサルタント業務を開始。上海で組織培養施設への指導を行ない、2003年同地で組織培養会社、上海百奥微繁植物有限公司を設立。HP『大きな国で』を開設。
ちょっとちがうぜ中国で農業
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