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アルミニウムイオンは、土中でどのような状態にあるのでしょうか。ふつうアルミニウムは土中に「溶出する」と説明されます。アルミニウムは中性~微アルカリでは全く水に溶けませんが、酸性になると溶けてきて水溶性アルミニウムとなり、さらに困ったことには土壌コロイドに吸着して、交換性アルミニウムになっています。
交換性アルミニウムの20%は常時土壌溶液中にでてきていて、その動きはとどまることがありません。だから一時的な有害性ではなく、ジワジワといつも生育害を与えます。この目に見えない敵の姿をみつけることはたいへん難しいですが、唯一みつける方法があります。
それは土壌pHを測ることであり、これによってその存在が推測できます。ただし、この場合は火山灰土と非火山灰土を分けて考える必要があります。なぜなら火山灰土は、少し酸性に傾いてもアルミニウムを強く溶出するからです。
火山灰土の場合pH5.8以下にしない
火山灰土は、火山の爆発によってマグマが空中に噴出した結果、細かく灰のようになった粒子の細かいものです。それが日本の気候で強い風化作用を受けてしまうと、主成分であったケイ酸はどんどん溶けて流れてしまい、結果アルミニウムが残ることとなります。
しかしここでもう一つ注意することがあります。火山灰土の酸性は、それ以外の土と異なり、あまり強い酸性にはなりません。ただし、それなら酸性害の心配はないのかというと、そうでもありません。
火山灰土と非火山灰土の違いは、私達の生活の中にある身近な酸性物質である、酢酸と塩酸を比べてみると、わかりやすいでしょう。
酢酸は寿司など食品にも使う酸であり、ご存知のように弱い酸です。それに比べて私達の胃から分泌されてる塩酸は強い酸です。
胃の中はpH2~3ぐらいといわれています。寿司に使う酢酸は、pHがそんなに低くなりません。その理由はなぜかというと、酸性の原因となる水素イオンが解離しやすいか、そうでないかということです。
同じ酸の量であっても、その酸が水素イオンを離しやすいものと、そうでないものがあります。当然、出てくる水素イオンの量は異なります。
弱い酸としての酢酸は、解離してくる水素イオンの量が少ないことで、結果として強い酸性にはなりません。
一方塩酸は同じ量であっても、そこから解離してくる水素イオンの量が多いことから、結果として強い酸、つまりpHの低い値を示します。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
過剰の対策、欠乏の克服
「土壌診断」という言葉は農業界に浸透し、多くの人がその必要性を感じているものの、調査は専門機関に委ね、その処方に基づいた施肥を行なってきたのが現状だ。ここでは現場で農業者が主体となって行なう土壌調査と診断方法について紹介していく。
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