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視点

化粧品で日本の農業を輝かせる

当社では、こだわりの手法で農業を営む日本全国の農家をめぐり、化粧品原料となり得る国産素材を3年間で100件製品化するという「ふるさと元気プロジェクト」を展開している。まだ1年目だが、十勝のアスパラガス、八丈島のアシタバ、会津のクコ、京都の柿渋など、エキス抽出に成功した生産物は60種を越え、市場に出回っているものも数多い。

 当社では、こだわりの手法で農業を営む日本全国の農家をめぐり、化粧品原料となり得る国産素材を3年間で100件製品化するという「ふるさと元気プロジェクト」を展開している。まだ1年目だが、十勝のアスパラガス、八丈島のアシタバ、会津のクコ、京都の柿渋など、エキス抽出に成功した生産物は60種を越え、市場に出回っているものも数多い。

 農業と特に縁があったわけではない私がこのプロジェクトを始めたきっかけの一つは、数年前に世を騒がせた一連の食品偽装問題だ。食品と化粧品には、使用する原材料の面で接点がある。食品で起こったのと同じ問題は、化粧品に生じてもなんら不思議はない。そんな思いを持った矢先、化粧品に使っている素材の産地を取引先から問われて、即答できなかったことがあった。仕入れ先に問い合わせてもすぐには判然とせず、1週間後にやっとわかったのは、「日本か中国」という曖昧なもの。私の脳裏に大きな疑問符が浮かんだ瞬間だった。


顔が見える化粧品を

 食品と同様のトレーサビリティを整備して「顔が見える化粧品」を作ろうと決意したのはこのときだ。それ以来、日本各地のこだわり農家を訪ねてまわるのが私の重要なミッションとなった。

 こだわりをもって作物と接している農家と話をすると、初めて知ることが多い。農家にとっては当たり前でも、私には驚きということもままある。先日訪れた福島県桑折町のモモ農家では、葉を食べれば実を食べずとも出来がわかることを教えられた。疑心暗鬼だったが、食べてみると、葉が甘い木から採れた実は、葉が苦い木で採れた実よりも甘かった。モモの葉を製品化する発想は、現場に行かなければ生まれなかっただろう。

 農作物から化粧品を作ると聞いて、「せっかく作った作物を食べないのは残念」と思うかもしれないが、その心配は無用だ。素材に使うのは、摘果したものや、規格外で出荷できないものや、通常は使わずに処分する部分ばかり。丹精込めて育てた作物の余った部分を有効に使わせてもらい、いわば正座するように姿勢を正して製品を作っているつもりだ。

 私は農業が憧れの職業であってほしい。そのために農業も他の産業と同様、経営がとても大切だ。しかし残念ながら農家と話していると、ときどき経営の1+1が2になっていないのではと思うこともある。また日本の市場が縮小している以上、農業も海外に市場を求めるのは自然な流れだろう。私は日本の農家が育んだ農作物を、誇りと感謝を持って世界へと発信して、地方を元気にするお手伝いがしたい。そして日本の農業をもっとキラキラさせたいと思う。(まとめ・高井ジロル)

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