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新・農業経営者ルポ

いまここで自分が、農業を続ける理由。



黒豚、米麦、キャベツ、餅 4本柱で成立する多角経営

 そんな時代から約20年後、現在のヤバタファームの経営は、黒豚、米麦、キャベツ、餅の製造販売という4本柱で成立する、いわゆる多角経営である。コメの一部と餅は、個人向けに直販している。敷地内には最新の設備が整った餅の加工施設も作った。付加価値をつけた農業経営の好例として、海外からの研修生が年に何回も訪れるという。穀物検定協会から怒られたというエピソードは、今のヤバタファームからは微塵も想像できない。

 矢端さんは就農した当初から土地利用型農業を目指していた。とはいえ当時はまだ「いい時代」の絶頂期で、農地をどんどん借りられるわけでもなかった。前橋市郊外ということもあり、勤めをしながら米麦をつくるのは魅力的で、そう簡単に人々は農地を貸そうとしなかった。

 群馬県のこの辺は5~6月に麦を収穫して、あわただしく田植えをするコメと麦との二毛作地帯だ。

 「勤めに行ってたって1町くらい作るのは簡単だろ? そうすると経費除いても50~60万のボーナスが、年4回あるようなものなんだよ。コメと麦と、あとは会社から2回だ」

 それが変わってきたのが、01年の特別栽培米制度の頃からだ。麦価の低下で麦をやめてコメだけ作る人が増え、しだいにコメも作らなくなった。こうして矢端さんのようなプロ農家が農地を借りれるようになり、制度が始まって2年目から、特別栽培米を自分で売り始めた。

 「そのほうが儲かるからね。まあ最初は親戚縁者が中心だよ。そこから広げていったというわけだ」

 餅の加工施設は4年前から。付加価値をつけたコメの売りかたを模索していた頃、長野県東御市の永井農場を視察したのがきっかけだ。1俵いくらで売るかと話すうちに餅の話になって、やってみることにした。正月や上棟式など祭事用が中心だが、真空パックの切餅も作れる設備をそろえている。借金額が大きかったので、当初は売れるかどうか心配で眠れない夜もあったが、始めてみると餅の需要は堅調で、現在は餅米にして約60俵分を販売している。


結果的に効率的でなくても常に効率を考えるのが経営

 直販を始めてから、コメの食味を重視するようになった。

 「やっぱり僕のものを“うまい”と思わせないと商売がなりたたない。とることばかり考えていると食味が落ちるから、チッ素を少なくする。少し足りないくらいじゃないとね」

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