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今月の数字

9月末までの新潟コシヒカリ1等米比率

新潟県農産物検査協会が、9月末までに2010年産収穫見込み量の55%のコメを検査した結果、1等米比率は17.3%と過去最低となった。例年だと80%前後を推移しており、しかもお隣の富山県は下がったとはいえ59%だから、新潟コシヒカリの惨憺たる結果に農業関係者が受けた衝撃は大きい。


17.3%

 新潟県農産物検査協会が、9月末までに2010年産収穫見込み量の55%のコメを検査した結果、1等米比率は17.3%と過去最低となった。例年だと80%前後を推移しており、しかもお隣の富山県は下がったとはいえ59%だから、新潟コシヒカリの惨憺たる結果に農業関係者が受けた衝撃は大きい。

 もちろん、新潟県内でも地域によって1等米比率に差がある。岩船産が51.3%、魚沼産が37.4%、佐渡産が31.4%、その他一般が12.8%だが、この「一般」には平場から山手まで多くの地域が含まれるから一様には判断できない。それにしても、富山県と新潟県でなぜこんなに差がついたのか。

 気温については、一般的にイネの出穂日から10日(14日、20日の説もある)の平均気温が26℃を大きく超えると登熟障害が出るといわれている。新潟県内をみると小出(27℃)、十日町(26.19℃)、安塚(26.34℃)など山手の平均気温は比較的低いものの、新潟(28.3℃)や高田(28.56℃)、糸魚川(28.88℃)は非常に高い。しかし、富山では29.21℃、伏木でも28.36℃だから、新潟の平場だけが高い気温だったということもない。また、少雨によるイネ枯れは山間部の天水田の話で、県全体の1等米比率に大きく影響する被害面積ではない。

 水温についてはどうだろうか。水田の水温を測定・記録している人はなかなかいないため、1級河川である信濃川・阿賀野川(新潟市ビックスワンスタジアム付近)と小矢部川(高岡市役所付近)の水温を見てみる。

 まず、信濃川と阿賀野川の水温測定地点はほとんど同じ標高にもかかわらず3℃の開きがある。もっと不思議なのは、信濃川と小矢部川の水温の変化。小矢部川は夜温が下がると水温も25℃以下になるのに対し、信濃川は変化がなく、出穂後3日間は水温が26℃より下がることがない。河川勾配が小矢部川(平野部1/800)より緩やかな信濃川(1/4000)では「大きな水たまり」状態になっているのだろうか。

 流れのない水田水温は河川よりも一層高いだろう。カドミウム対策や高熱登熟予防のため、出穂期は湛水管理が推奨されているが、その「水ヒタヒタ管理」が猛暑の年は裏目に出て、夜に地温が下がらない状態となっているのではないだろうか。従来は上げることに注力を払っていた水田水温も、上昇を抑えることを考える時代になってきた。水温や地温の動きを知りながら水管理の方法を考えていかなければならない。


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