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誤差0・4%――。この数字を耳にした時、一層の疑念が増してきた。役所の言い分が正しいか、肥料商兼集荷商Aさんの指摘が正しいか。作況指数のベースとなる「坪刈」調査について詳しく調べることにした。
その作況指数について役所の説明より分かりやすいのが、農業機械メーカー、クボタのホームページにある「ドクターU、ワカール農政」という絵入りの説明資料である。文章だけを拝借してみた。
「①都道府県内の全耕地を約2ヘクタールで区切った区画(単位区)から、水田を含む1区画を無作為に抽出します。②その中の水田1枚を無作為に選んで調査圃場とします(全国で約1万の調査圃場が選定されます)。③この圃場の対角線上3カ所を実測調査箇所とします」
その単位区は全国に280万もある。そこから調査対象として毎年1万区を抽出する。280分の1の確率ということになろうか。
サンプル数の多さも驚きだ。新聞やテレビの世論調査のサンプル数は1000人や2000人という数であることが多い。回答率も低い。内閣支持率調査でも50%台ということもある。これに比べ作況指数の回答率はほぼ100%に近い。これだけのサンプル数と回答率であれば、正確な数字が出てくるはずだが。
作況指数に対する批判を整理すると、数字がある「作為」にもとづいて作成されているのではないかということに尽きる。農水省も過去の見直しで統計作業から「作為性」を排除するようにした。89年に農水省はRDD(Random Digit Dialing)方式という抽出方法を取り入れている。調査サンプルの取り方で作為性を排除し、実際の世論調査でもよく使われる。この場合は、コンピュータで数字を無作為に組み合わせて調査対象の電話番号を作成している。
もっとわかりやすいイメージでは、所ジョージの「日本列島ダーツの旅」(日本テレビ系列)ではなかろうか。田舎ルポの対象地を決めるのに、所ジョージが日本地図にダーツを投げる、あのシーンを思い浮かべていただきたい。ご存知かと思うが、ダーツが刺さった地点をルポ地にするものである。RDD方式は、ダーツの代わりにコンピュータを使ったと思えばよい。
1区画を無作為に抽出するが、日本のように零細経営なら、区画内に複数の圃場があるケースが多い。その場合、どうするかとの疑問が出てくる。生産統計課の担当者に聞いてみたら、「乱数表で調査対象の圃場を選びます」という返事が戻ってきた。今度はスパイ大作戦か。思わず「あみだクジでも作ったらどうですか」と突っ込んでみたら、相手はキョトンとしておられた。もう一つ嫌味な筆問。「減反非協力者の場合は、当然、調査の対象外となりますか」。担当者氏の返答、「そんなことはありません」。ホントかな。
そうして選んだ対象圃場で実施するのが「坪刈」と呼ばれる調査だ。古い文献を当たってみると、江戸期には年貢米を決定するのに、明治になっての地租改正では、地主小作者間の小作料納入算定や供出量割当ての作柄調査に用いられた。現代は、作況指数のみに使う。
その作況指数について役所の説明より分かりやすいのが、農業機械メーカー、クボタのホームページにある「ドクターU、ワカール農政」という絵入りの説明資料である。文章だけを拝借してみた。
「①都道府県内の全耕地を約2ヘクタールで区切った区画(単位区)から、水田を含む1区画を無作為に抽出します。②その中の水田1枚を無作為に選んで調査圃場とします(全国で約1万の調査圃場が選定されます)。③この圃場の対角線上3カ所を実測調査箇所とします」
その単位区は全国に280万もある。そこから調査対象として毎年1万区を抽出する。280分の1の確率ということになろうか。
サンプル数の多さも驚きだ。新聞やテレビの世論調査のサンプル数は1000人や2000人という数であることが多い。回答率も低い。内閣支持率調査でも50%台ということもある。これに比べ作況指数の回答率はほぼ100%に近い。これだけのサンプル数と回答率であれば、正確な数字が出てくるはずだが。
作況指数に対する批判を整理すると、数字がある「作為」にもとづいて作成されているのではないかということに尽きる。農水省も過去の見直しで統計作業から「作為性」を排除するようにした。89年に農水省はRDD(Random Digit Dialing)方式という抽出方法を取り入れている。調査サンプルの取り方で作為性を排除し、実際の世論調査でもよく使われる。この場合は、コンピュータで数字を無作為に組み合わせて調査対象の電話番号を作成している。
もっとわかりやすいイメージでは、所ジョージの「日本列島ダーツの旅」(日本テレビ系列)ではなかろうか。田舎ルポの対象地を決めるのに、所ジョージが日本地図にダーツを投げる、あのシーンを思い浮かべていただきたい。ご存知かと思うが、ダーツが刺さった地点をルポ地にするものである。RDD方式は、ダーツの代わりにコンピュータを使ったと思えばよい。
1区画を無作為に抽出するが、日本のように零細経営なら、区画内に複数の圃場があるケースが多い。その場合、どうするかとの疑問が出てくる。生産統計課の担当者に聞いてみたら、「乱数表で調査対象の圃場を選びます」という返事が戻ってきた。今度はスパイ大作戦か。思わず「あみだクジでも作ったらどうですか」と突っ込んでみたら、相手はキョトンとしておられた。もう一つ嫌味な筆問。「減反非協力者の場合は、当然、調査の対象外となりますか」。担当者氏の返答、「そんなことはありません」。ホントかな。
そうして選んだ対象圃場で実施するのが「坪刈」と呼ばれる調査だ。古い文献を当たってみると、江戸期には年貢米を決定するのに、明治になっての地租改正では、地主小作者間の小作料納入算定や供出量割当ての作柄調査に用いられた。現代は、作況指数のみに使う。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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