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土門「辛」聞

危機感、緊張感ゼロ。農水省 肥料行政担当者の無責任ぶり



 「肥料原料の国際市況の推移を引き続き適時的確に把握していくほか、需給に影響を与える関連情報の情報収集を強化していくことが必要である。(中略)こうした情報収集の取り組みを通じて、民間ベースの情報と政府ベースの情報の総合的な分析を行い、将来の需給見通しの把握に努めていくべきである」

 これに沿って今年度、農業生産環境対策事業から肥料原料の安定確保に向けて資源産出国の国内動向を調査するために、1400万円の予算が組まれた。これについて農水省は、「輸入相手国の探索といった視点を踏まえ、本予算の有効活用を図ることが重要である」と位置づけてきた。これに伴い、輸入原料安定確保調査等事業(全国推進事業)を組み、6月1日から30日までの期間、調査を担当する事業実施主体を公募した。これに応じたのは、みずほ総合研究所1社のみで、最終的に同研究所が採択された。全農も調査の応札に向け、農業環境対策課に説明を求めにきたが、最終的には公募に応じなかったという。

 農水省が公表した公募要領によれば、この調査は「肥料原料の安定的な供給が期待できる新たな産出国の探索を行うとともに、肥料原料供給国に対して我が国への輸出促進等の働きかけを行うため」、次に掲げる取組を行なうとしている。


肥料原料産出国に関する文献調査及び現地実態調査・分析

効果的な調査の実施及び調査結果の分析・整理のための検討会の開催

我が国への肥料原料の安定的な供給が期待できる産出国へのミッション派遣

その他この事業の目的を達成するために必要な取組

 調査の具体的な内容については、10月末時点で何ら決まっていない。同課に説明を求めたところ、「年内に検討会を3回ほど開き、調査設計を終えた後に、『肥料原料産出国に関する文献調査及び現地実態調査・分析』を実施、然る後に『我が国への肥料原料の安定的な供給が期待できる産出国へのミッション派遣』に踏み切り、その成果についての報告を年度内に終える予定」(田中健一課長補佐)とあくまでも公募要領の記載内容通りに調査を実施する予定であると説明してきた。

 公募要領の記述、それに沿った同課の説明は、この調査がいかにズサンさであるかを証明している。具体的に説明してみよう。

 およそ役所の公式文書というものは、時系列なりに筋道に沿って整序されたものであるべきだ。その前提に立てば、公募要領の記述は、次のように書かなければならない。最初に「肥料原料産出国に関する文献調査」があり、それに沿って「効果的な調査の実施」のための検討会を開き、然る後に「現地実態調査」を実施するという流れになる。そして、その調査を終えた後に「分析・整理のための検討会」があって、その結果を踏まえ、最後に「産出国へのミッション派遣」という段取りになるはずだ。まず、この点を農業環境対策課の松尾元・課長に指摘したところ、内容について整序されたものでなかったことを素直に認めた。

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