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さっきの科学者つながりの例でいえば、エジソンは何でも興味を持って実験したわけでしょ。火事を起こしたこともあるけど、そういう失敗もせずにいろんなことを発明できるわけねえじゃん。これとこれを混ぜて爆発したらどうしようとか、マイナスなことを考えていたら何もできねえよ。エジソンはバカだったから、それができたの。
だから農家だって、人にバカだと思われようが、やりたいことをやればいいのよ。若い人たちはまだまだ時間があるんだもん。世の中も期待しているし、もっと外へ目を向ければいいじゃんよ。大げさなことじゃなくても、たとえば東京のおしゃれなレストランに行くだけでもいいじゃん。それだけでも何かの発見があるはずだよ。
そんで自分でやりたいと思ったことを、どんどんやっちまえばいいの。日本は中途半端に杭が出ると打たれちゃうから、いっそのこと出過ぎちゃえばいいのよ。周りの人間に「もうあいつは好きにやらしておけ」って思われるようになったらラクなもんじゃん。それには常に人が理解できないことをやっちまうのが一番いい。「あいつが言ってることは意味がわかんない」って言われるようになれば、しめたもんよ。理解できる範囲内だと、所詮は打たれちゃう杭でしかないからよ。
わからないやつにはいちいち説明する必要はねえし、そのうちわかるやつだけが集まるようになってくる。寄ってくるやつも寄ってくるやつで、みんなとは違うから、何かしら刺激になるものを持っている。そうすっと、いろんな化学反応が起きて、ますます先に進めるのよ。よく俺が1+1は2じゃねえぞって言うのはそこ。誰かに刺激されると1+1が5になったり、100になる可能性だってある。出てくる答えがわからないのが楽しいのよ。
農家ってのは、最初から答えを求めるやつがやたらと多いんだよな。そんなの1+1は2にしかならねえと思っているのと一緒じゃん。それが5にも100にもなるかもしれないってことを考えればいいんだよ。
だから俺は、それを孫にわかりやすく説明したことがある。ミカンが2個あるとするじゃん。それは誰が見たって2個のミカンだよ。でも皮を剥いたら、その中にはいくつの房がある? それを全部足したら2個じゃねえじゃん。さらにその房の中に粒がいくつあるかなんて、もう数え切れねえじゃんよ。個人の能力もそれと同じ。誰かに評価されて、自分もそうだと思ったら、それ以上にはなれねえ。自分の中には無数の可能性があることを信じて、希望に向かって行動あるのみよ。
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浅野悦男
エコファーム・アサノ
1944年千葉県八街町(現八街市)生まれ。農業高校中退後、17歳で就農。その後、麦・落花生・サツマイモ中心の経営から野菜へと転換した。現在は高品質な西洋野菜を100種類以上作り、各地のレストラン向けに販売。シェフたちとのメニュー作り、新たな食材作りにも取り組む。本誌35号農業経営者ルポに登場。【経営データ】●面積/畑地2.5haで100品種を超える西洋野菜を栽培。●労働構成/夫婦と甥の3名。●取引先/全国100店舗以上のレストランに直販。
エコファーム・アサノ 脳業発想力
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