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【過剰の対策、欠乏の克服】
水田の土を確かめる技
- 農業コンサルタント 関祐二
- 第77回 2010年10月29日
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人の手で作り込まれた日本の水田の土
まず水田の土の、最大の特徴は何でしょう。それは人為的作用をとても多く受けている土であるということです。特に日本の水田土壌は、東南アジアの水田土壌とは異なり、人の手によって作り込まれてきた「人工の土」です。
私達が生まれたときから、当然のように目にしている田んぼの景色は、実は先人達による命がけの取り組みで出来あがったものです。天の利と地の利を、これほど絶妙に組み合せた技は他に類をみません。
先人達は最初、水利のよい低湿地を水田化しようと試みたのでしょう。ヨシやアシの茂るドブ泥状のところで、この太くしつこい植物の根を取り除くことに大変な苦労をしたはずです。こうした低湿地は洪水の害も甚大で、収穫ゼロになる年も経験した結果、やや盛り高となっている適地を選んで開田していったと考えられます。
こうした場所は人為的に水を取り込む作業や、水利権、力の大小など、人の差が結果を左右する構造になっていくことから、やがて権力社会や国家の成立となっていくことは、日本史の授業でおなじみの流れです。
必要な時期に必要な水量を確保して、なおかつ台風や大雨の害の少ない場所というのは、治山治水をほぼやりとげた現代日本でも、まだ年に何度も災害があるわけですから、弥生時代あたりには大変だったはずです。
このような時代から水稲作では、田の均平、畔づくり、田起こし、代かき、種まき、除草、虫との闘い、収穫など、人の手が土に加えられることを、何百年も続けてきた歴史があるわけです。
この事実を私達はよく理解しています。ところが水田のメカニズムとは何であり、現実の課題とどのような関係があるかは、あまり理解されていません。では、どうしたら水田の土を判定できるのか、その簡単な方法をみていきましょう。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
過剰の対策、欠乏の克服
「土壌診断」という言葉は農業界に浸透し、多くの人がその必要性を感じているものの、調査は専門機関に委ね、その処方に基づいた施肥を行なってきたのが現状だ。ここでは現場で農業者が主体となって行なう土壌調査と診断方法について紹介していく。
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