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過剰の対策、欠乏の克服

水田の土を確かめる技

9月1~2日に「東北土を考える会」へ招かれました。秋の収穫が近いのに、多くの水田経営者が集まったと感心しました。この中で私が特に印象的だったことは、意外と水田の土が理論的に理解されていないことでした。そこで今回は水田の土を確かめる技について紹介します。

人の手で作り込まれた日本の水田の土

 まず水田の土の、最大の特徴は何でしょう。それは人為的作用をとても多く受けている土であるということです。特に日本の水田土壌は、東南アジアの水田土壌とは異なり、人の手によって作り込まれてきた「人工の土」です。

 私達が生まれたときから、当然のように目にしている田んぼの景色は、実は先人達による命がけの取り組みで出来あがったものです。天の利と地の利を、これほど絶妙に組み合せた技は他に類をみません。

 先人達は最初、水利のよい低湿地を水田化しようと試みたのでしょう。ヨシやアシの茂るドブ泥状のところで、この太くしつこい植物の根を取り除くことに大変な苦労をしたはずです。こうした低湿地は洪水の害も甚大で、収穫ゼロになる年も経験した結果、やや盛り高となっている適地を選んで開田していったと考えられます。

 こうした場所は人為的に水を取り込む作業や、水利権、力の大小など、人の差が結果を左右する構造になっていくことから、やがて権力社会や国家の成立となっていくことは、日本史の授業でおなじみの流れです。

 必要な時期に必要な水量を確保して、なおかつ台風や大雨の害の少ない場所というのは、治山治水をほぼやりとげた現代日本でも、まだ年に何度も災害があるわけですから、弥生時代あたりには大変だったはずです。

 このような時代から水稲作では、田の均平、畔づくり、田起こし、代かき、種まき、除草、虫との闘い、収穫など、人の手が土に加えられることを、何百年も続けてきた歴史があるわけです。

 この事実を私達はよく理解しています。ところが水田のメカニズムとは何であり、現実の課題とどのような関係があるかは、あまり理解されていません。では、どうしたら水田の土を判定できるのか、その簡単な方法をみていきましょう。

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