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中国や韓国を含めた新興国の消費者物価指数の上昇は、景気低迷中の先進国の景気を浮揚させるために供給される資金が大量に流入していることも大きな原因となっている。新興国ではインフレを抑制するため利上げを行なっているが、これだけではさらに海外からの投機資金を引きつけてしまう恐れがある。G20サミットで「新興国への投機資金流入への抑制措置」が容認されたことから、利上げをする一方で、資本流入規制策を準備することができるようになった。G20開催前に投機的資本流入を抑制する規制を発表した中国に続き、韓国でも海外投資家の債券への課税、銀行税、海外銀行の外貨デリバティブ規則の厳格化を検討している。タイ銀行も資本規制の検討を表明しており、インドネシアも資本流入に対する課税強化を示唆している。
このような「通貨戦争」が日本にどのような影響をもたらすのか。ひとつ言えることは、今後も円高圧力は続くということだろう。円高は資源の少ない日本にとっては輸入面でメリットがあるはずだが、天候不良による供給減少、新興国の需要増加、過剰資本の商品市場への流入で、食料品の価格がジワリと上昇しているようだ。コーヒー豆では、国際的な指標となるニューヨークのアラビカ種コーヒー相場が、10月に1年前と比べて約4割高い水準となった。米国都市部では前年より牛乳が10%、砂糖が9%、卵が7%価格上昇している(砂糖は国際価格が上昇して2010年の世界生産量が7.7%増加したにもかかわらず)。食料品価格のうねりはこれからも続きそうだ。
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松田恭子 マツダキョウコ
(株)結アソシエイト
代表取締役
日本能率協会総合研究所で公共系地域計画コンサルタントとして10年間勤務後、東京農業大学国際食糧情報学科助手を経て農業コンサルタントとして独立。実需者と生産者の連携の仕組みづくりや産地ブランド戦略を支援している。日本政策金融公庫農業経営上級アドバイザー試験合格者。(株)結アソシエイト代表取締役。
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