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木内博一の和のマネジメントと郷の精神

初公開! 和郷グループの金融戦略と哲学



間接金融のみに依存しない

 前述の1億円のハウス、減価償却期間が20年であれば、少なくともその間は使い続けられると考えるだろう。耐久年数という認識である。

 ここで、銀行から受けた融資に注目してみると、もう一つの見方ができる。元金の返済と金利の支払いは、建物が建った時点から始まる。毎年の返済に加えて利益を確保するとなると、完済までに20年かかる。ここでは融資の返済期間という物差しでもあるのだ。

 ところが、20年も払い続けていたのではなかなか次の投資ができなくて困る。そこで、何とか15年や10年で返済しようと考える。2倍とか3倍とか利益を稼がなければ実現できないため、農業経営が苦しい状況になる。

 かといって、読者の皆さんに企業の上場を進めているわけではない。我々もその予定は一切ない。

 農業は他産業に比べたら、リスクが高いわりには利幅がそれほど多くはない。投資家を引きつける事業計画が描きにくい。だから、直接金融にシフトしようと思ってもなかなかうまくいかない。

 では、どうすればいいのか。ここで登場するのが、直接金融と間接金融との間にある「半上場」という考え方である。

 単純化すれば、農産物の生産組織とそれに新たな価値を付ける事業会社に分ける。自己資本率を高め、直接金融は入れない。しかし、世の中の変化に対応し、付加価値を高めていくには新たな投資をし続けなければならない。そこで、直接金融を受け入れるのは、事業会社の傘下にある専門企業のみに限定する。


二段構えで役割を分担する

 和郷グループの「半上場」の取り組みはこうだ。家族経営でしっかり守らなければいけない守備範囲は、(農)和郷園と農家がそれぞれ行なう。(株)和郷は、農場の経営を健全化するための仕組みづくりを担う。この明確な分担によって、農業の間接金融による投資リスクを最小化する。そして、新しい価値を高めていくための投資リスクの部分は、和郷傘下の専門企業が引き受ける。

 第一に、各組合員農家は、家族経営を主体に一部社員を雇用した年間1億円弱くらいの生産事業である。この農家が集合体になって、何十億円規模になったのが和郷園だ。当社グループの一番の核にある。農場として自律し、持続可能な経営を続けていくことが目的だ。

 次に事業会社、和郷の役割はどうか。流通、カット、加工、環境事業などを核に組合員が生産した農産物の価値と数量を高める出口戦略を構築する。直接金融には入っていかない。なぜなら、背景にいる和郷園に対して、出資者から短期的な要求があったり、地域に合わない変化を求められたりといったリスクが伴うからだ。それは家族経営と地域経済の根幹を揺るがす可能性を持つ。地域の持続性を守るためには、リスクを予め回避しなければならない。

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