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過剰の対策、欠乏の克服

水田の斑鉄を観察する



汎用水田としての適性を斑鉄の観察から知る

 まず、土壌断面に現れる「斑鉄」です。前回も少し述べましたが、実物を前にしての説明でないと分かりにくいかもしれません。

 まず田んぼに穴を掘って、その断面に黄褐色の模様、あるいは赤褐色の模様を見つけるところから始めます。これを見つけたら、次は形や大きさがどうなっているか注意して3種類に分けます。最初からこれを見分けるのはかなり難しいですが、ひとまず説明します。

 水田に湛水すると、作土は酸素の少ない状態になります。このため土中の鉄は2価鉄という還元鉄になります。そして水に溶けて作土層から心土層へ、上から下への水の動きによって移動し、下層土にある「スキ床」に集積して、最後にそこで酸化されて斑鉄になる、ここまでを前回に説明したかと思います。

 この集積するタイプの斑鉄が最も赤褐色が鮮明で、初心者には発見しやすいものかもしれません。これを「集積斑鉄」といいます。

 このようにして鉄が一カ所に集積していく原因は二つあります。一つはスキ床から下は土がかき乱されることがないので、毎年同じ土壌構造のところに、水流で還元鉄が運ばれてくることによるものです。もう一つは、少しずつ集積してきた鉄の表面には、還元鉄が付着しやすいことによるものです。

 斑鉄は、このように毎年少しずつ酸素があり、そのスペースを確保できるところに発達していきます。これは自分で田を乾かしているとか、暗渠排水を施工したとか、いろいろ汎用水田として改良した結果を見ていく一つの指標になります。

 水田では上から下への水の動きとは逆に、下から上への水の動きもあります。例えば上段の水田から下段の水田に地下を伝って水が動き、下段で水が湧き出る場合です。この水によって還元鉄が運ばれて、ある場所で湧水すると、そこで鉄の酸化がおきます。

 これは皆さんが水田において見る場面で説明すると、わかりやすいのはないでしょうか。田面の水に膜状に、赤錆び色でギラギラする感じの鉄が浮いているのを、見たことがあるのではないかと思います。これは水に運ばれた還元鉄が、湧水して酸化したものです。

 これは下から上に向っての移動で「富化斑鉄」と呼ばれているものが、地表まで鉄が上っていった例です。そこまでいかなくても、断面のスキ床より上に昇ってきていると認められる場面は意外と多くあります。


水田に集積するマンガンの特性

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