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【耕すということ】
土層改良のための緑肥栽培と生物耕
- 農学博士 村井信仁
- 第9回 1995年03月01日
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なぜ不耕起で水蝕が防げるのか?
不耕起栽培によって土壌の水蝕が防止できるというのは、刈り株が土壌の流失を押さえるスタブルマルチ効果であると考えられている。
しかし、それだけではないと思う。もし雑草を気にしないのであれば、不耕起栽培では、耕起されていないにもかかわらず、透排水性が良好な場合がある。それも水蝕を防止することに有利に働いていると考えられる。これは、根の効果と考えるべきではないか。
原生林に入ってみよう。降雨後でも比較的乾いた状態にあるのは、広い範囲に広がる根群が水道となって透排水性を良好にしているからに他ならない。根が水分を吸収し、これを蒸散させて消費するとしても、それは微々たるものである。水分の多くは、根や団粒構造の間隙をぬい、表層を抜けて下層に蓄えられ、必要な水分が表層に止めおかれる。水を受け入れるキャパシティが大きければ、多少の降雨では水蝕は発生しない。不耕起栽培においてもそれと似たようなことが考えられる。
最近、わずかの降雨でも土壌の水蝕が発生すると各地から報告されている。いずれも作土に有機物が不足するためとされているが、果たしてそれだけの理由なのだろうか。確かに堆厩肥の施用こそ少なくなっているとしても、作物の収量増でその茎稗などの残さ物も多くなり、かなりの有機物が還元されているからである。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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