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【人生・農業リセット再出発】
史実は時代とともに……
- 作家 元国際線乗務員 黒木安馬
- 第120回 2010年12月08日
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坂本龍馬とは幼馴染みという設定で、三菱財閥創始者の岩崎弥太郎が過去を語るNHK大河ドラマ『龍馬伝』。ところがグラバーの記録などでは、弥太郎と龍馬の最初の出会いは、龍馬が暗殺されるほんの数カ月前、龍馬が経営する亀山社中・海援隊の経理を弥太郎が担当することになった維新前年の1867年で、お互いにそりが合わなかったと記されている。
また、19歳で江戸に出た龍馬は北辰一刀流の千葉道場に入門し、5年も通って初等科の免状をもらうが、それは薙刀であって、剣豪には程遠い腕前だったと記録がある。なのにドラマでは事実と相当な開きがあり、これだけ大々的に放映されると、それが史実として定着していく危険性があるから報道機関としてはまずいのではないだろうか? 私はNHK解説委員長経験者と歓談しながら聞いてみた。「いや、あれは面白く描いたドラマですから!」が答えであった。……ん!?
下関の長府博物館には、龍馬直筆の『新政府綱領八策』が残されている。歴史研究家の古城春樹さんが丁寧に説明してくれる。大政奉還を含む『船中八策』は、越前福井藩の家老であり、吉田松陰や龍馬など維新の立役者に影響を与えた横井小楠の『国是七条』原案による。龍馬の直筆を良く見ると、政権を朝廷に奉還、二院制議会政治の実現、身分に関係ない人材登用などと理想の世界を描いてあるが、最後は「○○○自ら盟主となり、これを以って朝廷に奉り……」と、主人公は○三つの伏字で書いてある。新政府宣言の重要起草文なのに伏字とは奇怪である。三文字を色々想定してみる。徳川将軍の“慶喜公”であれば大政奉還の意味がなくなり、土佐藩主の山内“容堂公”だと、時の権力を手中にしている薩摩と長州が首を縦に振るはずはない。
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黒木安馬 クロキヤスマ
作家 元国際線乗務員
高校時に米国留学後、早稲田大学を経てJAL国際線客室乗務員として30年勤務。世界初の「カラオケ・フライト」や「1万メートル上空・北島三郎機上コンサート」などを実現させる。千葉の自宅は1300坪の山林を開墾してプール、テニスコート、コンサートホール等を手作りする。現在、(株)日本成功学会社長として自己啓発や社員教育で講演中。著書に『成「幸」学』(講談社)、『あなたの人格以上は売れない!』(プレジデント社)、『出過ぎる杭は打ちにくい!』(サンマーク出版)、『面白くなくちゃ人生じゃない!』(ロングセラーズ)、『リセット人生・再起動マニュアル』(ワニブックス)、『小説・球磨川』(上下巻・ワニブックス)などがある。 E-mail:yasuma@myad.jp URL:http://www.3percent-club.com
人生・農業リセット再出発
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