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【視点】
小国オランダが世界の食・農業をリードする
- 同財団 国際関係・国際プロジェクト担当役員 フードバレー財団 海外担当役、 A・メンスィンク、アナマリ・ヌラ
- 第80回 2010年12月28日
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フードバレーとは、オランダの食関連企業と「知」が集積したエリアの総称である。首都アムステルダムから約85km南東方向に位置する。国土面積こそ九州より小さいが、オランダは農業・食品産業の大国だ。オランダの食品業界の規模は470億ユーロ、農産物の輸出額は230億ユーロと米国に次いで世界2位を誇る。フードバレーには8000人の科学者と1500近くの食品関連企業、70の化学企業、20の研究機関が集まっている。
フードクラスターの役割
このエリアでコーディネーターを務めるのが、2004年に設立した私どもフードバレー財団である。始まりは食品業界をリードする数社の要望だった。現在は100社以上の企業と大学等の研究機関、オランダ政府が会員として加盟し、産学官による「フードクラスター」(結合)と呼ばれる組織に成長した。拠点は「知」の中心であるワーへニンゲン大学にある。
我われの活動には5つの目的がある。まずは企業と研究機関、または企業同士を結びつけることだ。最大の持ち味であるネットワークの広さを発揮できる。次は、様々な革新的プロジェクトの支援である。技術を移転するだけでなく、スピンオフ(分離独立)や起業をうながし、その発展段階をサポートする。3番目はオランダからEU全域にわたって、農産物・食品分野の「知」を集積する働きかけである。4つ目は他の農産物・食品クラスターとの国際的な提携関係の構築だ。連携を広げることで、会員に参画メリットを還元できる。5番目は国際会議や展示会でフードバレーやその成果を紹介する普及活動だ。
EUの玄関口として
我われの強みは、需要主導にある。つまり、企業にビジネス需要があったときが研究のスタート地点になる。たとえば、NIZO食品研究所(前身は酪農家組合)は乳製品の新たな商品開発を目指してフードバレーに進出した。その結果、今ではオランダを代表する企業に成長している。海外からもフードバレーはEU市場への玄関口として活用されている。キッコーマングループなどすでに参画している日本企業も3社ある。進出の決め手は食関連の知のネットワークに加え、EU市場の物流拠点としての魅力も大きい。
もう一つの強みは、ワーへニンゲン大学の存在だ。最先端の研究成果がすぐに企業の課題解決や商品開発に取り込める。農業法人や農業関連企業からの依頼も大歓迎だ。世界トップレベルの「品種改良」「栽培技術」「食の安全」分野での共同研究は現実味のある話だ。日本の農業界にとって、問題を突き止め、課題を共に解決するパートナーとしてフードバレーを使ってほしい。(まとめ・加藤祐子)
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A・メンスィンク、アナマリ・ヌラ
同財団 国際関係・国際プロジェクト担当役員
フードバレー財団 海外担当役、
A.メンスィンク:1967年オランダ生まれ。ワーヘニンゲン大学で博士号(生化学)を取得。ヌミコ・リサーチ社、国立公衆健康環境研究所を経て、2008年9月よりフードバレー財団にて現職に至る。 アナマリ・ヌラ:1968年オランダ生まれ。フローニンゲン大学にて修士号(経営学)を取得。HTSブレダ、アクゾ・ノーベル社、在仏オランダ大使館、TNOクオリティティー・オブ・ライフを経て、2009年4月よりフードバレー財団にて現職に至る。 http://www.foodvAlley.nl/(英語HPあり)
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