ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

編集長インタビュー

レーザーからGPSへ 経営者の挑戦が導く技術革新

  • 株式会社ニコン・トリンブル 農業システム営業部 グループリーダー 広田健一
  • 第77回 2010年12月28日

  • この記事をPDFで読む
    • 無料会員
    • ゴールド
    • 雑誌購読
    • プラチナ
新たな農業技術が生まれ、普及していく背景には、メーカーの努力だけでなく、農業経営者たちのリスク覚悟の決断がある。代掻きに替わり、乾田状態での均平作業を可能にしたレーザーレベラーも、農業経営者の飽くなき挑戦心が普及を主導したといっても過言ではない。そして、レーザーレベラーの開発に尽力してきた(株)ニコン・トリンブルは今、GPS(全地球測位システム)を利用した精密農業の実現に挑んでいる。GPS技術の可能性や課題について、同社の広田健一氏に話を聞いた。

メーカーと農業経営者の挑戦がレーザーレベラーを普及させた

昆吉則(本誌編集長) 農業界ではTPPの議論が活発になっていますが、そんなタイミングだからこそ、土地利用型農業に技術革新をもたらす御社のレーザーやGPSシステムに期待がかかるのではないかと思っています。そもそもレーザーレベラーはいつ頃開発されたのでしょうか。

広田健一((株)ニコン・トリンブル農業システム営業部グループリーダー)1993年ですから、もう18年が経ちますね。

昆 それ以前にも、農業土木の分野でレーザー技術がなかったわけではないのでしょう?
広田 ええ。80年前後には輸入商社を通じて日本に入っていました。ただ、ブルドーザにつけるレーザー機器が1セット700~800万円もしておりました。今の4~5倍です。

昆 それが90年初頭になると、ある程度普及が進んできたと。

広田 そうですね。オペレータが手動で上げ下げするマニュアル式が、90年前半で数千台導入されています。ところが圃場が広くなってくると、マニュアルの処理能力では限界が出てくるわけです。そういうジレンマの中でウルグアイ・ラウンドの合意があり、その直後から全自動システムの導入が急激に進みました。

昆 ……ということは、当時の6兆円の農業対策費が役に立っていたわけですね(笑)。

広田 ええ。正直なところ、あの農業対策費の恩恵をかなり受けました。でも当時はまだ営農目的ではなく、農業土木の分野です。

昆 それでスガノ農機と共同開発を進められたわけですが、実用化に至るまでには苦労も多かったでしょう。

広田 当時はまだトラクタの油圧制御すら理解していない状態です。油温は上がるし、動きはおかしいし、これで本当にものになるのだろうかという不安が大きかったですね。

昆 それで販売1号機はいつ頃出たのですか。

広田 95年の初めですね。納入先は大潟村の農家さんだと思います。

昆 今では大潟村でレーザーが錯綜して干渉するなんていう話もありますが、国内全体でどれくらい普及しているのでしょう。

関連記事

powered by weblio