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【編集長インタビュー】
レーザーからGPSへ 経営者の挑戦が導く技術革新
- 株式会社ニコン・トリンブル 農業システム営業部 グループリーダー 広田健一
- 第77回 2010年12月28日
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昆 やはり欧米と日本の圃場条件はかなり違いがあるわけですね。
広田 ええ。限られた面積でこんなに多様な作物を作っているのは日本の特徴ではないでしょうか。それだけ管理も複雑になります。
より高い精度を追求し進化を続けるGPS
昆 GPSにもいくつかの種類があって、それぞれ異なる特徴を持っているということですが。
広田 そうですね。今のところ一般的なのはDGPS(ディファレンシャルGPS)というものです。これは単独測位に加え、衛星から送信される補正情報を利用する仕組みです。位置精度は50~100cmで、単独測位と比べてはるかに向上します。
昆 いわゆるカーナビとは別物なんですか?
広田 カーナビは単独測位だけで、補正情報は受信していません。だから5~15mの誤差があるんです。
昆 DGPSの精度が50~100cmということですが、それでは管理作業なんかできないと思えるのですが。
広田 それが条件の良い短時間の繰り返し精度なら5~10cmの誤差で動くんです。上空の衛星数や配置によって精度がかなり変わるので、大事な作業は時間帯を選んで行なうよう、ユーザーに指導しています。各地の上空で、何日の何時頃にどのような衛星配置になるかが予測できるソフトウエアがトリンブル社から提供されており、ホームページから無償でダウンロードできるようになっています。
昆 どの程度普及が進んでいるのでしょうか。
広田 他社製も含めると、北海道だけで概ね1000台は入ったといわれています。ユーザーの中には牧草をつくる畜産関係の方が多いですね。牧草の圃場は広くて、肥料代を年間500万円以上払っている人がザラにいるんです。それを2割減らすことができれば、肥料だけで100万円のコストダウンになるわけです。
昆 土壌分析も組み合わせながら、適正な施肥を組み合わせていくと、より一層コストが下がりますよね。
広田 ええ。さらにトラクタの無駄走りが2割減れば、二酸化炭素の排出量も削減できます。まさに環境保全型農業です。
昆 ただ、現状では条件付きの技術であることが玉にきずですね。
広田 そこで今、2~3cmの精度で作業できる高精度GPSが求められているわけです。それがRTK(リアルタイムキネマティック)と呼ばれるものですね。移動用受信機を搭載したトラクタとは別に、基地局を設置して補正情報を受信し、それらを組み合わせて精度を高めるシステムです。
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広田健一 ヒロタケンイチ
株式会社ニコン・トリンブル
農業システム営業部 グループリーダー
1957年東京都生まれ。79年に東海大学政治経済学部経営学科を卒業、同年重工系商社に入社。93年に米国レーザーメーカーの日本法人、スペクトラ・フィジックス(株)に転職。現在は(株)ニコン・トリンブルの農業システム営業部グループリーダーとしてレーザー、GPSの普及に日本全国を飛び回る。(株)ニコン・トリンブルは高度な光学系技術力と豊富な実績を持つニコンと、グローバルネットワークを持つ測量機器業界世界最大手のTrimble社の合弁企業。http://www.nikon-trimble.co.jp/
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