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編集長インタビュー

レーザーからGPSへ 経営者の挑戦が導く技術革新

  • 株式会社ニコン・トリンブル 農業システム営業部 グループリーダー 広田健一
  • 第77回 2010年12月28日

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昆 それをやるには基地局の設営などにコストがかかりそうですね。

広田 そうですね。諸々のコストを含めると400万円前後になります。ただ、これとは別に、携帯電話の端末を使って補正データを受信する方法もあります。これは国土地理院の電子基準点のデータをベースにした補正情報を受信する方法で、固定局を設置するよりはるかに安い初期投資で済みます。パケット通信を利用するのでランニングコストはかかりますが。

昆 経営者としては、どちらがいいのか迷うところですね。

広田 携帯電話を使う方法は、ランニングコスト自体は月に数万円の世界なので安上がりでしょうね。ただしそれ以前に、電波状況が良好であることが最低条件です。我われにとって一番大きいマーケットである北海道の中山間地では、厳しい場所も多いようです。その場合はやはり基地局が必要になるわけです。

昆 国土交通省あたりが、そういう基地局を農業以外の目的も含めて設営することはあり得ないんですか。

広田 実は農業界もさることながら、建設土木業界も基地局の設置を強く必要としているんですよ。レーザーやGPSを使うIT土木技術を推進する動きがあり、国交省と農水省で連携をとって、IT技術の導入について検討する場ができつつあると聞いています。省庁連携により、基地局の設置はインフラととらえ、国、地方自治体の協力が得られれば、さらに導入も加速するのですが。そう願いたいものです。

昆 昨今のTPP問題を踏まえると、競争力を高めるために導入すべきという大義名分は立ちそうですね。しかも先日、日本で準天頂衛星を打ち上げました。あれはどういう影響があるのでしょう。

広田 日本上空の天頂付近に衛星が常に存在するように打ち上げたもので、より確実性の高い測位が可能になります。このプロジェクトが順調に進めば、衛星から送信される補正情報のみでかなり精度の高い作業が可能になるといわれています。ところがあれはまだ1号機でして、天頂付近より電波を受信できるのは1日に8時間しかないんです。

昆 受信できるのが昼間とは限らないわけですね。

広田 そういうことです。少なくとも3機を打ち上げて初めて24時間体制で確実性の高い測位ができるわけですが、2機目以降の計画は何も決まっていません。それでも2011年初めに、関係機関・民間各社と協力して、準天頂衛星が農業にどう活かせるのかという試験に取り組むことになりました。

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