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【木内博一の和のマネジメントと郷の精神】
総務の強みを発揮できていますか
- (有)和郷、生産組合(農)和郷園 代表理事 木内博一
- 第27回 2010年12月28日
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総務には、営業や生産などの直接部門に比べて間接部門というマイナーなイメージがある。だが、私は総務を経営の推進役であると考えている。
総務の理想像とは
当社には、個性的な人材が集まってくる。みな意見が違う。それぞれの立場から会社の成長やその方法について、主張する。
そこに総務が登場する。十人十色の意見をまとめて、今のわが社にとっての最善策に導く。決まったことを約束にし、常に狂わないよう管理していく重大な責務が課されているのだ。
総務といえば、聞き役や調整役の仕事だと通常、思われている。ともすれば会社の雰囲気や社長の意向に流されがちだ。
私の考えでは、経営戦略を企画したり、アクションを起こしたりするのは社長だけという会社は成長できない。積極的に働く総務部門を持つことが必要になる。営業や生産部門より総務こそ主体性を持つよう人材育成に努めるべきだ。
そこで参考になるのは家族経営の農家ではないだろうか。農家の「母ちゃん」の仕事は総務にとどまらず、経理や実務の農作業まで多岐にわたる。つまり、大なり小なり企画を立てて、自ら実行するという繰り返しである。むしろ「父ちゃん」以上に「母ちゃん」が経営の柱になっているケースの方が多いことだろう。視察旅行など外で勉強をしてくるのは「父ちゃん」だけだとしても、それぞれが外部とのつながりの中で自主性を持っているのだ。
ところが、会社などの組織体ではそうはいかない。会社の規模によらず、似たような状況になっているのではないだろうか。
時として総務をはじめ内勤の人と、営業などで外に出る機会の多い人との間の壁が問題になる。営業などは自分のペースにあった外部の人と知り合い、会社の指示でもその機会も与えられている。一方、外に出る機会の少ない総務は内向きになる傾向があるという具合である。
ひとつの解決策として、総務の人を外に連れ出してみてはどうか。総務の人にも営業と同じかそれ以上に、外部の人に知り合わせる。私の仕事は、できる限り彼らがそういった出会いを経験できるような権利と場を提供することである。
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木内博一 キウチヒロカズ
(有)和郷、生産組合(農)和郷園
代表理事
1967年千葉県生まれ。農業者大学校卒業後、90年に就農。96年事業会社(有)和郷を、98年生産組合(株)和郷園を設立。生産・流通事業のほか、リサイクル事業や冷凍工場、カット・パッキングセンター、直営店舗の展開をすすめる。05年海外事業部を立ち上げ、タイでマンゴー、バナナの生産開始。07年日本から香港への輸出事業スタート。現在、ターゲット国を拡大準備中。起業わずか15年でグループ売上約50億円の農系企業を築き上げた木内氏の「和のマネジメントと郷の精神」。『農業経営者』での連載で、その“事業ビジョンの本質”を初めて明かす。
木内博一の和のマネジメントと郷の精神
起業わずか15年でグループ売上約50億円の農業ビジネスを築き上げた“農業界の革命児”木内博一。攻めの一手を極める氏の経営戦略と思考プロセスを毎月、明かしていく。
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