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北海道長沼発ヒール・ミヤイの憎まれ口通信

水嶋ヒロは『KAGEROU』ヒール宮井は『NOUGYOU』

「ねえ、リオ。北ってやっぱり寒いのよね?」「ん? そうだね。レイはあれから北海道に帰っていなかったんだね」「帰る場所ではなく、行くことのない場所だと思っていたの」「あれから雪を見たことないの?」「もう何年も……」「そうなんだ」

「ねえ、リオ。北ってやっぱり寒いのよね?」

「ん? そうだね。レイはあれから北海道に帰っていなかったんだね」

「帰る場所ではなく、行くことのない場所だと思っていたの」

「あれから雪を見たことないの?」

「もう何年も……」

「そうなんだ」

「でも、またリオに再会出来るなんてすごいことよね」

レイとリオは幼なじみだった。二人は幼い頃近所に住んでいたが、レイは大人になり、北海道を去ったが、雪が降らないこの街で偶然再会した。3歳年上のヤンチャで活発だったレイと相変わらず口下手なリオはそれぞれの学生時代をそれぞれの土地で過ごすことになった。あれから10年。夏は家族でキャンプに行き、冬は南国オーストラリア人でにぎわっていたスキーの思い出は記憶の断片にしか残っていなかったはずだった。

「覚えてる? スキー場のこと」

「え? 何だっけ?」

「ニセコのスキー場でオーストラリア人と英語で話したこと」

「あれか……」

「リオったら、習いたての英語を使いたくて、どのくらい滞在するのか聞いたら、あの人、フォート・ナイトって答えた。半月の意味も分からなくて、顔を真っ赤にして逃げたよね」

「そうだったわね。でも今考えても変な話よね。なぜ真夏のオーストラリアの人たちがあの寒いニセコにスキーに行きたがるのかしら」

「きっと、祖先が寒い国から来たからかなあ」

「まさか。そんな、でも私が北海道にいた時も、みんな冬になると暖かい所に行きたがっていたわね」

今は幼稚園児が英語を習う時代になったが、その当時、初めてスキー場で使った英語の興奮はリオには忘れることができない事件だった。

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