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北海道長沼発ヒール・ミヤイの憎まれ口通信

水嶋ヒロは『KAGEROU』ヒール宮井は『NOUGYOU』



「何って……、いろいろ……」

「だから、いろいろって何よ?」

「尋問されているみたいだよ」

「ごめんなさい。だって久しぶりに会ったから、いろいろ聞きたいのよ」

「いろいろって?」

「なにそれ? リオの意地悪」

「冬は翌年の準備かな。機械の整備をしたり、勉強もしたり」

「勉強って、どんな?」

「いろいろあるんだよ」

「あ~また、いろいろって言ってる」

「ちゃかすなよ。まじめに答えているんだから」

「日本って進んだ先進国ってみんな信じているけど、日本の農業は科学的、機械的にもまだまだ米国から見習うことが多いんだ」

「え? 農業を米国に見習う?」

リオはレイが言いたいことを分かっていた。なぜ米国なのか。リオには日本の農業の限界を感じることがあった。規模拡大が進んだとはいえ、やっと中央ヨーロッパ並みでは、次の世代に引き継ぐ魅力に欠けることを。そんなリオは毎年冬になると知人を頼り、いまだ世界の食糧庫と自負する米国の絶対的な力の源を知る必要があった。時間のとれる冬は最高の自己啓発のチャンスとなることは誰でも知っているはずだった。

「レイはヨーロッパが好き?」

「そうね。ブランドがあるし、街もきれいだし。男の人もブランドの車はやっぱりヨーロッパ製よね?」

「僕は違う。だって今レイが言ったことってすべて物だよね? ヨーロッパの人々がすごくて立派だって、どうして言わないのか。おかしいと思わないか?」

「リオ、それってどう言うこと?」

「僕はみんなが強く生きていくべきだと思うんだ。暖かい国では人を騙しても生きていけても、寒い国で同じことをしたら排除され、路頭に迷うことになる」

「余計分からなくなってきた」

「あまり難しく考えなくてもいいよ。自分が正しいと信じていれば」

「そんなものなの?」

リオは米国が好きだった。遠く地平線まで見える広い大地は、いかなる言語も封印させ、世界中の英知が試される実験場の様にさえ見えてくる。そしてリオは感じていた。今の日本人のヨーロッパ志向は米国経由で上書きされた物であることを。

「ねえリオ、やっぱり私のこと好き?」

「えっ?」

「正確に言うと、あの頃、私のこと好きだったでしょう?」

「う~ん、知らない」

「相変わらずはっきりしないね」

「寒い国の男はこんなもんだよ」

「ばーかみたい。寒さのせいにするなんて」

「でも知ってるよね。寒い国の人は優しいってこと?」

「私は優しくないかもよ」

「僕といれば、温かくなれるよ」

「そう思う? また帰ってみたいな。寒い雪の降る故郷へ……」

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