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【過剰の対策、欠乏の克服】
極度のカリ欠乏土壌の改良実例
- 農業コンサルタント 関祐二
- 第79回 2010年12月28日
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極度のカリ欠乏土壌の対策はバランス良い施肥がポイント
日本列島には夏冬フル稼働の土地もあれば、この時期は完全に休眠状態のところもあるわけですが、土壌の問題に向き合ったり、肥料の選択をしたりするのはもっぱら冬の仕事のようです。畑が稼働していると、気になっても後回しになっているかもしれません。この季節に皆さんも土壌についてじっくり考えてみてはいかがでしょうか。
以前も取り上げた北海道の土壌問題を研究する「SSH(Soil Science HokkAido)」でも冬季を利用して全体検討会が行なわれました。メンバーは約30名。ほとんどが若手農業経営者で、次世代を切り開く意欲を持った人たちです。
発足1年目の昨年は、各自で気になっている畑や水田の土壌調査を行ないました。この調査からこの地域が抱えるカリ欠乏土壌の問題が浮き彫りになったことは以前お伝えした通りです。今回は調査結果に基づく土壌の改良を行ない、改良後の結果が出ましたので報告します。
カリが全くゼロの値を示す畑は北海道では随分あるようです。本来、畑の土は乾いた土100gあたり30mg程度の交換性カリを含有していなくてはいけません。0.1mg未満という考えられない数値は、土から完全にカリが流亡してしまったことを示しています。
状態を改善するためには当然、無機態のカリを施用すればよいのですが、カリ施用量はなかなか計算通りにはいかないのが実際です。よくある失敗例は、カリの施用がオーバーして、一気にカリ飽和度が増加しすぎることです。カリ過剰のバランスから作物はマグネシウムとカルシウムの吸収阻害を生じます。そこで、カリ施用の際にはマグネシウムの飽和度10%とカルシウムの飽和度40%の両方を目標値にすることが大切です。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
過剰の対策、欠乏の克服
「土壌診断」という言葉は農業界に浸透し、多くの人がその必要性を感じているものの、調査は専門機関に委ね、その処方に基づいた施肥を行なってきたのが現状だ。ここでは現場で農業者が主体となって行なう土壌調査と診断方法について紹介していく。
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