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今年の市場相場を読む

TPP時代に向けての野菜戦略

TPP(環太平洋経済連携協定)への参加に向けて、わが国も検討に入った。FTAなどの2国間協定より単純な原則、関税の撤廃で済むために、環太平洋の各国が参加してくるのは時間の問題だろう。「日本農業壊滅論」を声高に喧伝して、条件闘争の落としどころを探っている農業団体はさておき、独立した農業経営者はむしろビジネスチャンス到来と認識すべきだ。ただし関税フリーとなる農産物の品目によっては、影響の大きさに差が出るかもしれない。TPPの本格的な合意までにはたっぷり時間があるが、丁寧な検証はしておくべきだ。

根ショウガ 国産で中国産を代替するには限界。ベトナムなど台頭する可能性も


【概況】

東京市場の根ショウガの入荷は、05年あたりから減り始め、08年に底を打った後、増勢で推移している。減少の理由は中国産の敬遠気運からで、タイ、ベトナム、台湾、フィリピン、ニュージーランド産などが穴埋めしたものの、全体の入荷量は減った。09年と10年は増勢に転じているが、これは主産地の高知を含めて面積拡大があったため。とりわけ09年は生産量が多く、越年物により10年の全体量も増えている。

【背景】

10年の入荷量は、05年水準まで回復した。シェア別に見ると6割近い高知に対して、中国産は3割程度。05年当時は約半分が中国産だったことを考えると、国産の代替が大幅に進んだといえる。08年に平均単価が600円を超える高騰となったことが、国内増産のきっかけになったことは間違いない。高知の商系業者の間では、休業した農家を復活させたり、九州地区などで委託栽培したり、買い取りなどの動きが活発だ。

【今後の対応】

ショウガは、栽培、収穫などで多くの労力が必要で、しかも土壌病害などにも細心の配慮が必要であり、安易な面積拡大はできない。安い中国産への需要は強く、国産で代替するにも限界がある。そのため、産地が中国からほかの環太平洋の国々にシフトすることはあり得る。インドネシアやタイ、ベトナムなどが有力候補だろう。とりわけベトナムのダラット高原では、対日本向けの野菜生産や1次、2次加工が急激に増えていることに留意したい。

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