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【木内博一の和のマネジメントと郷の精神】
海外進出とは多様性を受け入れること
- (有)和郷、生産組合(農)和郷園 代表理事 木内博一
- 第28回 2011年02月01日
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昨年10月23日、「上海・和郷園」の事務所を開いた。具体的なビジネスを始める準備室として、徐々にネットワークを広げている。
タイや香港で既に海外展開をしてきたが、状況はまるで違う。国によって、国民性、考え方、価値観は多様だ。当社も中国ビジネスをスタートするに当たって、改めて初心に帰るべきだと考えている。
たとえば、日本でも新規就農を希望する人は、畑もお金も持っていない。同様に、我われも中国に行ったら畑は持っていないし、そもそも言葉が通用しない。日本のお金を持っていても、人民元ではないので、どういう価値に変わるのかが分からない。ないない尽くしのところからどのように始めたら良いのだろうか。
アイディアとしては、まず料理人になって料理を覚えるというやり方がある。そして、自分のレストランを開き、さらにレストランで必要な食材を作るために畑を借りていくといった具合だ。香港に築地から鮮魚を運んだのは、まさにこの発想を用いた事例である。
しかし、中国の場合は、日中関係の情勢や成熟していない社会ルールなど、不安定な要素が多い。直接事業を展開するより、間接的に支援する方がリスクは小さくなる。当社から日本側の技術やサービス精神、流通経路を提供して、現地企業の店をプロデュースする。そして、成功すれば、プロデュースした費用を10年、20年かけて利益で配当してもらうという仕掛けだ。そのうちに時代は変わるだろうし、次のステップに進むタイミングが来る。そのチャンスが来るのを待って、来たるときに行動すればいいのだ。
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木内博一 キウチヒロカズ
(有)和郷、生産組合(農)和郷園
代表理事
1967年千葉県生まれ。農業者大学校卒業後、90年に就農。96年事業会社(有)和郷を、98年生産組合(株)和郷園を設立。生産・流通事業のほか、リサイクル事業や冷凍工場、カット・パッキングセンター、直営店舗の展開をすすめる。05年海外事業部を立ち上げ、タイでマンゴー、バナナの生産開始。07年日本から香港への輸出事業スタート。現在、ターゲット国を拡大準備中。起業わずか15年でグループ売上約50億円の農系企業を築き上げた木内氏の「和のマネジメントと郷の精神」。『農業経営者』での連載で、その“事業ビジョンの本質”を初めて明かす。
木内博一の和のマネジメントと郷の精神
起業わずか15年でグループ売上約50億円の農業ビジネスを築き上げた“農業界の革命児”木内博一。攻めの一手を極める氏の経営戦略と思考プロセスを毎月、明かしていく。
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