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「日本も昔は有機栽培しかありませんでした」なんてことを言う人達も多いが、国が貧しい時は選択の余地がなかっただけで、豊かな国になれば選択方法が増える。決して有機栽培の有利性が証明された訳ではない。なのに、実際に貧しい国からは買おうとはしない。人間としてのいやらしさが見え隠れするように思う。慣行栽培であれば中国産も米国産も同じに扱われる。だが皆さんは有機栽培で同じ価格の場合、カリフォルニア産とベトナム産のレタス、実際どちらを購入するだろうか?
有機栽培の農産物がビジネスとして成り立つためにはマーケットのほかに社会資本が必要にもなる。電話、舗装された道路、きれいなトイレ、読み書きができる労働者、ワイロが必要ではない通関システムなどなど……。日本では当たり前でも、豊かではない国からの有機栽培農産物が日本にほとんど存在しない理由はそこにあるのだろう。
英国のドールはある一定の条件のもとで野菜に価格変動があった場合、生産者に価格補てんをしていると聞く。日本でも一部の野菜に農水省のありがたい予算で同じようなシステムがあるが、流通会社で積極的に行なっていると言う話を聞かない。そう考えると、日本は本当に成熟された社会なのだろうかと疑問もある。
ところで、豊かさとは何だろうか? 答えの一つに単純に米国の豊かさを見習うべきであろう。単純に物がたくさんあり、有機を選ぶかマクドナルドを選ぶかの選択の自由がある社会はやはり魅力だ。間違っても選挙権がない中国やビックマックが存在しないベトナムではない。
豊かになるためにはどうすればいいか? 簡単だ。豊かではない昨日と同じことをやらないことだ。やっていたら同じ結果になるだけだ。
小さなマーケットだが、できあがった社会資本、近隣諸国との所得格差がないので、スイスの農家が生きていくことは可能なのだろう。
豊かな国でなければ第二次世界大戦の時のようにナチスもやってこない。スイスは100年ほど前までは決して豊かな国ではなく、男達は冬になると他国のための傭兵になった。今でもスイスの一般家庭には米国軍がアフガンで使う5.56mmよりも強力な7.62mm小銃を置いてあり、年に数回の訓練も義務化されている。それに比べ日本人は……。
日本はすべて話し合いで国際紛争が平和的に解決できると考えているから、今ひとつ豊かになれないのだろう。たとえ小銃を所持していてもアルプスの少女ハイジに出てくる優しい、元傭兵のじいさんのようにもなれるかもしれないのに。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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