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【木内博一の和のマネジメントと郷の精神】
家族農業の未来を託す英才教育
- (有)和郷、生産組合(農)和郷園 代表理事 木内博一
- 第29回 2011年02月28日
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農業で人生観を変える近道は、作った農産物を自分自身で売るという経験である。私は20代で始めたが、その日から発想は飛躍的に広がった。
今では農家が販売することは当たり前の時代になりつつある。そんな中、新たな課題が出てきている。
特にオヤジの世代が苦労して生産から販売までの一貫体系――生販一体をつくってきた家族経営の農家だ。せがれはいるが、作る方より売る方に専念しているケースが多い。こうした若い世代が生産現場を経験しないまま、マーケティングに特化した人材としていずれ後継し、経営者となる。
つまり、農産物を生産する方がおろそかになる。その瞬間に、農業界での品質競争に勝てなくなる。いくら販売に優れていてもモノが駄目では商売お手上げである。
農家出身とはいっても、農業に新規参入する企業と同列になる。非農家系の農業がうまくいかないのは、農業現場での経験が足りないことが原因であることが多い。単純な農作業能力の問題ではない。
家族経営は1億円を目標に
生産を一定期間、集中してやりぬくと、その過程でいろいろな知恵を絞ってきた絶対量が自分の中に蓄積してくる。天候を相手に戦ってきた現場経験に裏づけされた農業のDNAといったところだ。私自身、自分の頭では理解できない経営上の判断でも、農業現場で培った原則や身体性といったものに支えられている。
実際、一旦、生産と流通の人材が分離した農業経営になってしまうと、元来の家族経営の強みを回復するのはとても難しいことだと感じてきた。
そこで作ったのが、企業経営という形で家族経営の農家を守る仕組みだ。和郷園グループは、生産農家集団の和郷園と販売・加工・サービス事業を展開する(株)和郷とが完全に生販分離している。それぞれ家族経営と企業経営で受け持つ。
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木内博一 キウチヒロカズ
(有)和郷、生産組合(農)和郷園
代表理事
1967年千葉県生まれ。農業者大学校卒業後、90年に就農。96年事業会社(有)和郷を、98年生産組合(株)和郷園を設立。生産・流通事業のほか、リサイクル事業や冷凍工場、カット・パッキングセンター、直営店舗の展開をすすめる。05年海外事業部を立ち上げ、タイでマンゴー、バナナの生産開始。07年日本から香港への輸出事業スタート。現在、ターゲット国を拡大準備中。起業わずか15年でグループ売上約50億円の農系企業を築き上げた木内氏の「和のマネジメントと郷の精神」。『農業経営者』での連載で、その“事業ビジョンの本質”を初めて明かす。
木内博一の和のマネジメントと郷の精神
起業わずか15年でグループ売上約50億円の農業ビジネスを築き上げた“農業界の革命児”木内博一。攻めの一手を極める氏の経営戦略と思考プロセスを毎月、明かしていく。
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