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木内博一の和のマネジメントと郷の精神

家族農業の未来を託す英才教育

農産物を自分自身で販売すると、経営の発想は飛躍的に広がる。だが、農家出身でもマーケティングに特化した人材が農業経営を後継しても、なかなかうまくいかない。その理由は、農業現場での経験不足だと指摘する。家族経営と企業経営、持続的に発展するための人材育成の鍵はどこにあるのだろうか――。

 農業で人生観を変える近道は、作った農産物を自分自身で売るという経験である。私は20代で始めたが、その日から発想は飛躍的に広がった。

 今では農家が販売することは当たり前の時代になりつつある。そんな中、新たな課題が出てきている。

 特にオヤジの世代が苦労して生産から販売までの一貫体系――生販一体をつくってきた家族経営の農家だ。せがれはいるが、作る方より売る方に専念しているケースが多い。こうした若い世代が生産現場を経験しないまま、マーケティングに特化した人材としていずれ後継し、経営者となる。

 つまり、農産物を生産する方がおろそかになる。その瞬間に、農業界での品質競争に勝てなくなる。いくら販売に優れていてもモノが駄目では商売お手上げである。

 農家出身とはいっても、農業に新規参入する企業と同列になる。非農家系の農業がうまくいかないのは、農業現場での経験が足りないことが原因であることが多い。単純な農作業能力の問題ではない。


家族経営は1億円を目標に

 生産を一定期間、集中してやりぬくと、その過程でいろいろな知恵を絞ってきた絶対量が自分の中に蓄積してくる。天候を相手に戦ってきた現場経験に裏づけされた農業のDNAといったところだ。私自身、自分の頭では理解できない経営上の判断でも、農業現場で培った原則や身体性といったものに支えられている。

 実際、一旦、生産と流通の人材が分離した農業経営になってしまうと、元来の家族経営の強みを回復するのはとても難しいことだと感じてきた。

 そこで作ったのが、企業経営という形で家族経営の農家を守る仕組みだ。和郷園グループは、生産農家集団の和郷園と販売・加工・サービス事業を展開する(株)和郷とが完全に生販分離している。それぞれ家族経営と企業経営で受け持つ。

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