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【北海道長沼発ヒール・ミヤイの憎まれ口通信】
TPPって「とってもピンクなプレー?」
- 西南農場 代表取締役 宮井能雅
- 第36回 2011年02月28日
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そろそろTPP(環太平洋経済連携協定)の話をしないと、時代遅れになってしまうので、また好きなことを書かせていただこう。6月には方向性がはっきりするらしいが、TPP推進に向けて怒涛のごとく押し寄せる潮流をせき止めることは無理であろう。コメ、畜産、麦などに影響があると発表されているが、なぜか大豆の文字はない。大豆は昭和36年から関税等を支払えば、実質的な自由化が始まっていて、聞くところ、現在では関税ゼロで誰でも輸入できるのだから、TPPなど関係ないと言うことなのか。
生産者が自由化で一番心配するのはやはり収入だろう。大豆に限らず国産農産物は品質が高いから心配無用! なんてことを言うオメデタイ生産者は存在するだろうが、そのように考えていない生産者、流通、加工、販売者もいるのもまた事実。
昨年、平成22年産の北海道納豆用ユキシズカ2等大豆の概算払いは60kgあたり2700円で、1年後の本年末の予定最終清算額を足しても60kgあたり6000円を超えることはないだろう。ちなみに1月末現在のシカゴの搾油用大豆は27kgあたり14ドルおおよそ60kgあたり2600円が米国の大豆生産者のポケットに入る。この価格をベースに輸入商社は食用大豆にはプレミアムを支払い、その後、輸入されて日本のスーパーでは糖質が国産並みに高いビントン種からできた豆腐などが陳列棚を飾る。そしてそれらの米国食用大豆は日本着で60kgあたり5000円以下のものは存在しない。
ということは? 話は単純だ。輸入する側から見ると、たかだが20万tしかない国産大豆に触手を伸ばし、この大豆はこうだのああだのと小うるさくわがままな国内生産者の寝言を拝聴したくはないのだ。それよりも日本の農薬・ポジティブリストに記載されてさえいれば、日本国内で登録のない現地大豆用農薬を使えて「カモン・ベイビー!」と安定供給してくれる生産者と播種前に契約して、米国の広大な大地で栽培・収穫された50万tの食用大豆の方を選ぶ。しかも品質は安定しているので、安全・安心感が違うのだろう。同じく、われわれ北海道の大豆の多くも播種前契約がなされ、その結果、秋には入札にかけられることになる。
そしてこの入札結果が驚きの数字だ。一昨年の2カ月間近く、北海道産の納豆大豆ユキシズカは落札ゼロ。昨年末も1カ月間、入札がなかったし、12月に入っても上場の2割程度の落札である。そして本州大豆の状況も残念ながら似た状況である。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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