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「今は常にトラックに積んでいるので、いつでもどこでも畑の状況を見られるし、パートさんたちの仕事ぶりも確認することができます。でも、メリットはそれだけではありません。お客さんへのプレゼンテーションにも大いに役立っていますよ」
プレゼンテーション? 誰に何をプレゼンするのかと思ってしまうが、細木が種ショウガを専門に作っていることに、この疑問を解くヒントがある。少し説明してみよう。
種ショウガには当然ながら健全なショウガであることが要求される。客となる農家にショウガの健全性を示すには、圃場の様子を見せることが一番らしい。
「病気が発生すると、病気になったショウガとその周辺のショウガをすべて引き抜いて、土壌殺菌をしなければなりません。対症療法としてクロロピクリンの錠剤を土の上に置いて、ポリシートをかぶせるのですが、逆に言えば、畑にポリがかかっているということは病気が発生している証拠なのです。うちの畑はここ数年、病気が発生していませんから、ポリがない。ライブカメラで畑の全面積の90%を映し出せますから、ipadでお客さんにポリがないことを自信をもって見せられるのです」
現在、取引があるのは高知市近隣の農家が26件ほど、インターネット経由の取引が30件ほどと、決して多くはない。近隣農家に出荷するのは、正味16kg入りのコンテナで50~1000コンテナ。平均が200コンテナほど。インターネットの方は、多くても80コンテナ程度だ。
「将来的には、もう少し生産量を増やして、利益率を高めていきたいと思っています」
ホソギ・トレーディングの年商は約4500万円。ipadを使ったプレゼンテーションに期待がかかる。
子ども心に、社長になりたかった
「私がITに強いのは、父親の影響でしょうね。父親はアマチュア無線が好きで、出作に行くと『天気がいいから後から来い』なんて、無線で家族に連絡していました」
という細木だが、彼のユニークな仕事ぶりの原点には、今なお現役の父・直正はもちろん、米国留学の経験も少なからず影響している。細木は、農業大学校で学んだ後、社団法人農業研修生派米協会(現・社団法人国際農業者交流協会)のプログラムで2年間米国に留学した。
「花の鉢物と野菜の苗を生産しているファミリーファームで1年半研修をし、残りの半年は大学で勉強しました。米国の生産者は固定観念に縛られず、非常に独創性が高いと感じました。日本人はいいものを真似るのが上手ですから、米国人の独創性をどんどん真似して、取り入れていけばいいと思いますね」
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細木博幸 ホソギヒロユキ
(有)ホソギ・トレーディング
代表取締役
1965年高知県生まれ。高知県立高知農業高校、高知県立農業大学校を経て(社)農業研修生派米協会(現・国際農業者交流協会)のプログラムにより米国で研修。85年に帰国し就農する。2006年法人化。主産品である種生姜「土佐一」の収量は10Aあたり約9tと、ショウガ王国・高知県でもトップクラス。独創的なITの導入によって、作業のさらなる効率化と利益率の向上を目指している。パートは最盛期に20名前後雇用。経営面積2.2hA。 http://tAneshougA.com/
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