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その頃の避難所の様子について報告をうけた。
「パンやカップラーメンなどの食料物資はかなりの量、現地にはとどいている。でも、皆、あたたかい手作りの料理を恋しがっている」
そこで、当チームは被災地への「炊き出し部隊」を結成することにした。6名のうち、2名は千葉での食材調達、4名が現地への物流と調理・仕出しにあたった。3月24日夜に千葉を出発、翌朝から2日間、福島県の相馬市、宮城県の気仙沼、石巻を縦断した。
どんな料理が喜ばれるかメニューも熟慮した。初日は「豚汁うどん」、二日目は「野菜たっぷりのあんかけラーメン」といった具合に、体が芯から温まり栄養もとれるメニューを考えた。食後のデザートも用意することにした。具材は和郷園の野菜のほか、地元の生協からの提供として、麺や具材、調味料、洋菓子などを手配くださった。食肉公社からは豚肉やハム、ソーセージの提供があった。
トラック2台に食材と水、燃料、調理器具を載せ、現地に向かった。予定どおり、毎日500食の炊き出しを完了することができた。
この活動は要請がある限り、今後も続けていくつもりだ。本部によれば、週末の炊き出しは都市からのボランティアが多く足りているが、平日が不足しているという。当社はチーム内で交代で、平日に毎週でかけることにした。もともと炊き出しや地域での交流活動は地元で常日頃からやっていることだ。
「風評被害」対策の決め手
第3の活動は、千葉県農業界の情報集約・発信機能だ。
市場出荷の系統系農家については、農協・全農がまとめ役となっているから安心だ。県からの情報収集や放射能物質の検査、国への陳情や東電への補償要求を滞りなく行なう体制と従来からのコミュニケーション・ルートが万全となりつつある。つまり、一般の農家は、アクションを起こさなくても、農協からの情報・指示・補償などが得られやすい。
マスコミの報道にしても、国、県、農協経由の情報だ。
一方、われわれのような農協出荷をしていない独立系の契約産地、農業法人には「風評被害」が広がるなか、行政から何ら情報が入ってこない。こちらから働きかけるにしても、一法人の要望は県や国には届かない。被害のあった農地や被災した施設、出荷自粛した野菜の補償など、問題は積み上がっていく。逐次、地元の市町村に連絡して、基本情報をとることぐらいしかできない。
こうした事態を改善すべく、千葉県の契約栽培をする農業者20数社・団体に呼びかけ、「千葉県契約取引事業者連合会」を急きょ、結成した。
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木内博一 キウチヒロカズ
(有)和郷、生産組合(農)和郷園
代表理事
1967年千葉県生まれ。農業者大学校卒業後、90年に就農。96年事業会社(有)和郷を、98年生産組合(株)和郷園を設立。生産・流通事業のほか、リサイクル事業や冷凍工場、カット・パッキングセンター、直営店舗の展開をすすめる。05年海外事業部を立ち上げ、タイでマンゴー、バナナの生産開始。07年日本から香港への輸出事業スタート。現在、ターゲット国を拡大準備中。起業わずか15年でグループ売上約50億円の農系企業を築き上げた木内氏の「和のマネジメントと郷の精神」。『農業経営者』での連載で、その“事業ビジョンの本質”を初めて明かす。
木内博一の和のマネジメントと郷の精神
起業わずか15年でグループ売上約50億円の農業ビジネスを築き上げた“農業界の革命児”木内博一。攻めの一手を極める氏の経営戦略と思考プロセスを毎月、明かしていく。
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