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今月の数字

地震発生10日間で国から送られた1人あたり緊急食料品



 佐川急便は日本赤十字社と締結している救援物資の搬送協定に基づき、12日早朝より毛布などの救援物資の輸送を行なっているほか、内閣府緊急災害対策本部などの行政機関、地方自治体、各トラック協会の要請に基づいた救援物資輸送を開始している。13日には東北への配送と集荷を停止する一方で、関東支社からドライバー200名、トラック100台の応援部隊を東北支社に派遣し、拠点営業所の復旧に着手した。一部では初期対応が早過ぎたため、最前線で自衛隊と瓦礫の片付け等を行なった。他方、ヤマト運輸が東北への配送を再開したのは21日午後。車両構成、営業所の規模や数の違いはあるにしても、佐川急便が部分的に再開できていることが、なぜヤマト運輸にできなかったのだろうか。平時のドライバーの対応や時間の正確さなどに関する評価は、どちらかといえば逆であるだけに、ヤマト運輸がどのような状況で意思決定を行なったかを知りたいところだ。

 さらに問題なのは、国から送られる緊急物資の配送が遅れていたことだ。国が依頼し輸送が完了したパン、おにぎりなどの食料品は、3月15日時点で48万食だが、その時に避難所には約52万人がいる。3月21日時点では10日間の累計で200万食が送られているが、21日の避難民25万人だけで割り算をしても、10日間で1人8食分しか配送されていない計算だ。

 被災地への食料品は、まったく足りていない。政治家は「被災地への対応を優先し、買いだめを控えて」などという抽象的な指示ばかり繰り返しながら何をしていたのだろうか。結局3月15日に政府が自衛隊に輸送担当を一元化し、自衛隊が全国各地からの物資を被災地に届ける枠組みを作り、運用を始めた。これでは丸投げである。一連の対応の遅れは道路事情の問題ではなく、平時の仕組みを飛び越えた意思決定をできないトップの問題だ。迅速な意思決定ができない組織の指示や情報を待つくらいなら、個人の発する情報や行動をつなげたほうがよっぽど役に立つ。社会システムはそろそろ更新時だ。

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