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今年の市場相場を読む

輸入が急増した野菜類を検証する タマネギ、ニンジン、ネギ、キャベツ

2010年は国産野菜が品薄高値となったため、生鮮野菜の輸入量が前年より35%増え、約79万tとなった。輸入全体の4割以上を占めるタマネギが64%増、ニンジンが56%増、ネギが54%増、さらにキャベツは79%増など、主要品目で大きな増加を見せた。特に3~4月および9~12月の輸入量が前年を大きく上回っており、それらのうち6割が中国産(12万500t増)、3割が米国産(5万8500t増)だ。需要構造から見ると、主要品目において輸入品を多用するのは加工・業務用需要が中心である。一方で小売需要の利用が多い卸売市場では、どんな影響が出ているのかを検証してみよう。

タマネギ 相場4割高で34万t輸入。国産の作柄回復が輸入依存を解消

【概況】

10年の東京市場のタマネギは、入荷が順調だった07~08年と比べて12%程度の入荷減となり、過去5年の平均価格の44%も高いキロ125円と暴騰した。各月の入荷を見ると、年前半は、近年入荷が少なかった09年をさらに下回っている。後半に関しては前年より入荷増となったものの、過去5年の平均値より少なく、単価高推移となった。輸入品の割合は、中国、米国を始めとして1割を超えた。

【背景】

10年のタマネギ輸入量は、日本全体で34万tだった。東京のマーケットは日本の約1割の需要があるから、単純計算では3万4000tだが、東京市場での輸入量は1万t強。2万数千tが市場を経由しないで流通したことになる。市場の平均価格は平年より4割以上高いキロ125円、これに対して輸入品の平均単価は同42円(港到着価格)。中国産などは「剥きタマネギ」の状態でも50~60円とされるから、加工・業務需要は輸入品頼りになる。

【今後の対応】

今年1月になっても、タマネギは国産が品薄高になっており、中国産だけでも輸入量が7000tと、前年同月の2倍になった。国産の出回りが増えない限り、輸入量が前年を上回るペースが続くが、今後は九州産の出荷があるほか、生産面積増の産地や地産地消的な生産導入もある。本命の北海道産についても、今年は生産意欲が例年になく強い。タマネギは国産が安定している限り、構造的に輸入量は増えないことを銘記したい。

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