ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

新・農業経営者ルポ

「国産」ブランド榊の大逆襲プラン。


 「被災地の福島の沿岸部はヒサカキの産地だったんですよ。仙台の生花市場では昨年度の実績で22万束以上、4600万ほどの売上があったと聞いてます。そのうちの70%を福島産が占めていたはずです。だったら、被災した生産者たちに八丈へ来てもらって、復興後に苗を持って帰るという方法もあると思うんです。もちろん、移住してくれれば、それにこしたことはありませんがね」

 もうひとつ彼の頭を悩ませているのは、榊が持つ付加価値を、さらに広げる方法だ。お客さんからの意外なひと言が記憶に新しい。新芽が日ごとに伸びていく姿を見て、「生き生きとしていて感動的ですね」と言われたのが、奥山にヒントを与えた。

 「たとえば、昨今のスピリチュアル・ブームと結びつけることはできないものかと思い描いています。榊をスピリチュアル・ツリーとして打ち出せば、若い層の需要も開拓できるのではないか。神棚ではなく、グラスへの一輪挿しで癒やし効果を狙ってみるのもいい。そんな売り方もあるんじゃないか、と」

 夢を膨らませる奥山に、すかさず妻が“教育的指導”を出す。「今は作っているだけで精一杯の状況ですからね。想像と現実のギャップを考えないと」。

国産榊の新しい1ページに向けて、いろいろなアイディアがほとばしるように生まれる。だが奥山が本当に望むのは、自分の後継者を見つけることでもなく、自分が新しい需要に携わることでもない。国内であれば産地はどこでも構わない。日本人の精神性と日本の文化が宿る美しい国産榊を絶やさないでもらいたいのだ。 (文中敬称略)

関連記事

powered by weblio