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それぞれの新規就農スタイル

ポケベル番号の交換から始まった遠距離恋愛。

農家の三姉妹に生まれ、後を継ぐことを期待された娘は、「俺は農業をやりたい」と言ってくれた男性と見事に結ばれる。高校球児だった夫の顔は、ようやく農業青年らしくなり、妻は妻で、農と食の魅力を伝えたいと考え始めている。そんな夫婦の、就農ストーリー。

出会い、そして就農のきっかけは?

出会いは高校生の頃。甲子園近くのホテルで甲子園常連校の野球部にいた高校球児の太一さんと神戸に遊びに来ていた愛子さんが偶然出会い、意気投合。交際開始後、徳島へ遊びに行き、お手伝いをしたことがきっかけで、愛子さんの実家で農業をしたいという気持ちが芽生えていった。結婚後4年間は岐阜で暮らしていたが、27歳の時に2人で一緒に徳島へ。「愛子はすぐに子育て。僕が義母からシイタケに関するあれこれを教えてもらいました」(太一さん)。

今、感じている農業の面白さは?

「前の仕事も“ものづくり”だったけど、食べることに結び付いているのがいいですよね。シイタケ大好きですし(笑)」と太一さんが言えば、野菜ソムリエの資格を持つ愛子さんは「菌床ブロックから小さいキノコが生えて段々と形になっていくのが愛らしくて。こういうことを子どもたちに知ってもらえば、シイタケが好きになってもらえるんじゃないかな」。地元の小中学生を招いて、シイタケ狩りを体験してもらうなど、彼女なりのスタンスで食育活動に取り組んでいる。

これまでに何か大きな失敗は?

「あれは2年目ですね……、コンピューター制御されていると思い込んで、うっかりハウスの見回りを忘れてしもうて。加温され続けたのでシイタケは全滅。当然、義父には叱られましたが『この失敗は後々の糧にしろよ』とも言われました。やっぱりグッと来ましたよね」(太一さん)。以降、目で、耳で、鼻で確認するため、きちんと足を運ぶようにしている。立派な社長である専務として存在感を発揮しつつある。

農業を通じて実現したい夢は?

子育てに手がかからなくなってきた愛子さんはようやく作業を手伝えるようになり、アスパラガス栽培を始めた。近々収穫の時期を迎える。「廃菌床を土に入れると作物が大きく育つみたい。循環型農業としてシイタケと一緒に生産していけたら」。一方、シイタケ部会青年部長の顔を持つ太一さんは「徳島産は生産量が日本一で、市場でも評価が高いけん、それをこのまま維持したいですね」。穏やかな口調の裏側にある情熱を感じさせた。

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