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特集

日本の土壌除染対策は史上最低“チェルノブイリ以下”だ! 被曝放置農地の現実を直視せよ



【畜産物の汚染を低減するセシウム吸着剤の使用】

 旧ソ連諸国では、畜産物中の放射性物質濃度を低減するため、多くの吸着剤が試験された。本剤は濃厚飼料や栄養強化サプリメント飼料に混入したり、草食動物の腸内で持続放出する「ボリ」(大型丸剤)として与えられたりした。最も効果のあるセシウム吸着材として通常、プルシアン・ブルー(紺青)と呼ばれるヘキサシアノ鉄酸塩化合物が広く使用された。畜産物中のセシウム137濃度は、この化合物の使用により最高、10分の1の低減率を記録したが、通常では3分の1から5分の1程度の低減効果であった。同化合物は、毒性が弱く、その使用は安全である。紺青が畜産物中のセシウム137汚染抑制に使用されるようになったのは、1990年代初頭である。紺青の服用は、抜本的な対策に適した牧草地が不足している集落ではとくに価値があり、有効である。ベラルーシでは、紺青を含んだ特別な濃縮飼料が製造され、一日一頭あたり0.5kgの紺青が供給された。生乳中の平均低減率(対策実施前と実施後の製品中の放射能濃度の比)は3分の1となった。ボリはベラルーシとロシアの集団農場の乳牛に与えられた。

 ウクライナでは、ロシアやベラルーシのように、紺青が広く用いられることはなかった。ウクライナ国内には紺青資源がなく、西ヨーロッパから購入するのはコスト的に合わないと判断されたためである。したがって、代わりに国内でとれる粘土鉱物を吸着剤として小規模に使用してきた。これは、紺青に比べると若干有効性に劣るが、コストを抑えることができる。


【食品加工による汚染濃度の低減】

 生乳からバターや乳製品への特別な加工法が数多く開発され、対策としても実施されてきた(表2)。加工方法によって、最終製品中のセシウム137とストロンチウム90の値は、当初の製品よりも7分の一から10分の一まで減少する。

 加工を行なうことで、食料品(スターチ、植物油、蒸留酒等)は、加工前の汚染原料では準拠できない放射性物質の安全基準に見合った仕上がりになる。

 表2に示されたデータは、長期間維持される放射性物質(セシウムとストロンチウム)のみを扱っている。事故直後では、生乳をコンデンスミルクや粉ミルクのような保存可能製品に加工することで、高い低減効果が確認された。この対策は、乳製品中のヨウ素131濃度を低減させた。こうした製品は地元住民により消費され、酪農業が経済的に大損失を被ることはなかった。

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