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特集

日本の土壌除染対策は史上最低“チェルノブイリ以下”だ! 被曝放置農地の現実を直視せよ



【立ち上がった被災農家による除染組織】

 政府のこれ以上のごまかし、不作為、不正義など信用できない。ニッポンの農家もついに立ち上がった。国に頼らず、被災農家が自ら発起した共同活動組織「東日本大震災・農業漁業復興共同体」が5月31日、福島県飯舘村で「放射能汚染農地土壌改良試験」を初めて実施した(詳細は36頁参照)。

 明日は我が身である。読者諸氏で応援しよう。


 本特集の入稿間際の6月6日、文科省は、福島県全域を対象にした土壌調査を始めた。広域的な放射線量の分布マップを作成し、8月はじめに公表される予定だ。土壌調査は、80キロ圏内が2キロ四方ごとに2126区域、同圏外が10キロ四方ごとに112区域となっている。各区域5カ所で土壌を採取し、放射性物質の蓄積状況を分析する。

 ただ、調査方法については、農地は農水省従来の深さ15cm(水田、畑は30cm)、非農地は5cm(文科省管轄)となったままだ。

 本調査の名称は「放射線量等分布マップ(土壌濃度マップ)の作成等に係る検討会」。プロローグで述べたとおり、放射性物質は法律上クリーン物質のため、法律違反となる“汚染”という単語はかたくなに使わない姿勢は変わらない。マップ作成の目的は「農地土壌における技術的事項」に限定されており、調査委員会の担当は原子力行政を推進してきた「文科省科原子力安全課」である。農地汚染に対する賠償への道のりは険しい。


■日本の暫定規制値はチェルノブイリの10倍以上

 生産者にとっても、消費者にとっても、「農作物が被曝するとはどういうことなのか」について、まずは基本的な知識を身につけることが重要だ。

 原発事故をめぐる日々のニュースを見ていると、「○○産のホウレンソウが暫定規制値を超えた」とか「出荷停止」といったフレーズにばかり目が行ってしまう。そして、数値の意味に対しては思考停止したまま、「結局、食べても大丈夫なの? だめなの?」と白黒をつけようという発想に陥りがちである。

 SvやBqといった今まで知らなかった単位が登場し、研究者や解説員によって異なる判断を聞かされ、混乱するのはやむを得ない。しかし、そうした短絡的なスタンスで被曝野菜を見ていくと、消費者側は「買わないようにしよう」となりうるし、生産者側は「風評被害だ」となる。

 不毛な議論に陥らないためにも、そもそも農作物の放射能汚染とはどういうことなのか、暫定規制値をどう見ればいいのか、基礎的なことから振り返っておきたい。

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