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特集

日本の土壌除染対策は史上最低“チェルノブイリ以下”だ! 被曝放置農地の現実を直視せよ


 まず、原発から大気中に放出された放射性物質は、重いものは原発付近に落ち、軽いものは気流に乗って遠くまで運ばれる。それらが土と農作物の上に降り積もっていく。

 農作物の汚染経路は2通りあり、一つは放射性物質がほこりとともに葉や花の表面に舞い降りてくるルートだ。ホウレンソウのように葉っぱが上を向いて広がっている葉物野菜にはどうしても放射性物質が付着しやすく、それで初期段階で高い濃度が検出されニュースとなった。この経路では、たとえばキャベツのような結球性の葉物野菜では、外側の葉をむけば表面に付着した放射性物質をかなり取り除けるし、ダイコンのような根菜類にはそもそも放射性物質が表面につくことはない。

 しかし、放射性物質の飛散から時間がたつと、もう一つの経路である間接経路にも注意を払う必要が出てくる。土の表面に降り積もった放射性物質が土壌中に入り込み、それを植物が根から吸い上げる。さらに、茎の部分については直接、間接両方の経路から汚染されていく。同じダイコンでもこの経路になると放射性物質を取り込む。

 さて、次にそのようにして被曝した野菜に対して、どう向き合っていけばいいのかを考える。まず、放射性物質のついた野菜を食べると身体の中でどんなことが起きるのだろうか。野菜とともに体内に入った放射性物質は放射線を発する。これを「内部被曝」と言う。身体の外に付着した放射性物質は洗い流せば落ちるが、内部被曝に関しては長期間にわたって被曝が続くので危険性が指摘されている。これまでの研究とICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に基づき、日本の法律でも一般の人が1年間にさらされてもよい人工放射線の限度量は1mSvと定められている。放射線を受ける量は累積で考えなければいけないので、被曝した野菜を年間どれくらい食べるか、そして、外部被曝や呼吸、水、ほかの食品からの被曝とをトータルすると、どれくらいになるかを計算する必要がある。

 そこで、今回の原発事故を踏まえて、政府が食品衛生法に基づいて緊急的に設定した上限が「暫定規制値」である。なぜ恒常的な値より緩い規制だからだ。今回は大量の放射性物質が放出された異常事態で、一定期間につき、許容量を引き上げたわけだ。その証拠に食品に含まれるセシウムの許容量5mSvだけで、法定限度の1mSvを5倍も超えている。これには当然、空気中からの外部被曝やセシウム以外の飲食を通した内部被曝量は含まれていない。

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