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今年の市場相場を読む

風評被害を受けた野菜の動向 ホウレンソウ、レタス類、キュウリ、ピーマン

東日本大震災が起きた約10日後から放射能汚染のため、出荷停止になった野菜がある。特定の地域産が対象だったが、同じ産地の対象外の品目や他産地産の同様の品目について明らかに風評被害といえる相場安が一方で発生した。政府が示す基準が不明確で、一時、量販店が風評被害をあおるような対応に出たことから、消費者は不安感を募らせ、買い控えや過剰反応がみられた。相場がさらに低迷したことは言うまでもない。その後、被災地支援の動きがフェアなどの形で増えてはいるが、市場の相場は風評の実態を正直に映している。今回は、いくつかの品目で風評被害の程度と回復状態をみてみたい。

ホウレンソウ 軟弱野菜全体の消費減を誘発。不需要期に向かうが回復は遠いか

【概況】

震災は3月上旬に発生し、それから約10日後より出荷停止産地が指定されたため、市場相場を直撃したのは半月ほどだった。同月だけをみると、東京市場のホウレンソウの入荷量は前年同月比で85%、単価は88%程度にとどまった。しかし、4月に入ると、福島県だけでなく、群馬県など北関東の主産地が出荷停止措置を受けたことから、入荷量は81%とさらに減少し、単価は61%という暴落商状となった。

【背景】

3~4月はホウレンソウの旬が終わり、冬場のように消費は活発ではない。例年でも入荷が減少し、単価も上がっていく時期ではあるが、今年の場合は入荷減でも単価は暴落した。4月の入荷統計では、この月の主産地である群馬県は前年同様に3割以上のシェアをキープしたが、大きく変わったのは同年に3割近いシェアがあった茨城県産が8%に激減し、それをカバーするかのように同年のシェアが18%だった埼玉県産が27%に増えたことである。

【今後の対応】

5月には入荷が79%に回復し、単価も94%までばん回しているが、震災以降、はっきり消費者の軟弱野菜離れが見て取れる。幸い、キャベツが豊作で安かったことで、家庭の野菜利用には不便を来さなかった。6月以降は産地が東北に移っていくが、不需要期でもあり、入荷減の単価安の傾向は変わらないだろう。放射能汚染の対象品目に真っ先に指定されたホウレンソウは当分、子供のいる家庭を中心に敬遠されるとみたほうが無難である。

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