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それぞれの新規就農スタイル

男子一生の仕事の実感ふつふつと

農家のひとり息子として生まれた。プレッシャーこそ感じないものの、逃げ出したくなったことも。しかし、学校で同じ境遇の仲間が夢を語る姿を見て心機一転。「自分次第で、面白くやれそうかも……」最初は何となく、だけど今は男子一生の仕事の実感ふつふつと。

就農の経緯は?

「高校生になってあらためて親の仕事を見てみると休みもないし大変そうだなと思って、継ぐのが嫌になったんです」。とはいえ、ほかに展望もなく、猶予期間が欲しいがために、「逃亡先」として農業大学校への進学を決めた。しかし、そこでの出会いが進路を左右する。「同じ境遇の奴らが夢を持って“継ぎたい”と楽しそうに言ってて。俺も面白くやれそうかなと」。もともとある地盤を活かすため、土田さんは両親同様、ナシづくりを選ぶ。

就農後、作業や経営は順調にいった?

20歳で就農し、最初の2~3年は両親の元で一連の流れを覚えるだけで精一杯だった。ところが同時期に世の中が不況になり、経営はどん底に。「ナシの価格が暴落して、このままじゃヤバいって焦りました」。父は農協出荷のみだったが、「自分で、高値で売るしか生き残る方法はない」と販路の開拓に乗り出す。これを機に、地元のスーパーや直売所での販売など、農場の経営者として動き始める。

この仕事のやりがいは?

「自分次第でどうとでもなるところですね。日々の作業や努力、工夫……そういう自分のやったことがすべて確実に返ってきますからね。ある意味、その厳しさは長年続けてきた空手にも似ています自分を追い詰めて高めていくのが好きなんでしょうね」。とはいえ、いくら努力しても相手は自然。当然、思い通りに事は運ばない。「気候や台風とか自然災害に対する無力さは嫌というほど思い知りましたよ。でも、そういう中で納得のいく味がでた時の喜びは格別です。それが醍醐味じゃないですかね」

今後の夢は?

都内の人気スイーツ店からの注文や要望に応えたり、ミシュランで三ツ星を獲得したレストランのシェフから高い評価を得るなど、近年は売り上げ、評価共に安定してきた。「なので味や品質の現状維持は最低ラインとして、できれば今よりおいしいナシをつくりたいです」。直接、顧客からの声に学ぶことも多い。「自分でおいしいと感じないものは出せません。手を抜かずに地道な作業を積み重ねるしかない」。期待は裏切れない。一生ゴールのない道を、彼は今日もまい進する。

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