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“被曝農業時代”を生きぬく

初判明! 放射性セシウム濃度、栃木・茨城・千葉・神奈川・群馬の一部農地“チェルノブイリ汚染地域”と同等レベル

先月号(20頁)ならびに週刊文春(6月30日発売)での筆者の提言通り、政府は原発構外の放射能汚染について法整備に動き出した。前回、指摘した「原発からの環境(大気、土壌、海洋)への汚染物質漏えいは合法」との見解を環境省は撤回し、7月6日、「日本は放射能汚染の無法地帯であり、法の不備があるのは明らか」(同)であるとの認識をはじめて示した。現状、工場などからの有害物質の排出を規制する法律には、環境省が所管する大気汚染防止法、土壌汚染対策法、海洋汚染防止法などがあるが、放射性物質は適用除外”になっている。法的根拠がないことが、漏出の現状を把握する汚染マップづくりや除去作業などへの対応の遅れを招いていた。いまだに東電に対する司法による取り調べがないのもこのためである。

先月号(20頁)ならびに週刊文春(6月30日発売)での筆者の提言通り、政府は原発構外の放射能汚染について法整備に動き出した。

前回、指摘した「原発からの環境(大気、土壌、海洋)への汚染物質漏えいは合法」との見解を環境省は撤回し、7月6日、「日本は放射能汚染の無法地帯であり、法の不備があるのは明らか」(同)であるとの認識をはじめて示した。

現状、工場などからの有害物質の排出を規制する法律には、環境省が所管する大気汚染防止法、土壌汚染対策法、海洋汚染防止法などがあるが、放射性物質は適用除外”になっている。法的根拠がないことが、漏出の現状を把握する汚染マップづくりや除去作業などへの対応の遅れを招いていた。いまだに東電に対する司法による取り調べがないのもこのためである。

「無法状態の解消に努めたい」とする環境省だが、「われわれには放射性物質に関する知見もノウハウも実績もない」との現状を明かす。

これまで、放射線規制の主導権を握っているのは原子力行政を推進してきた文科省だ。原発敷地内の原子炉等規制法や病院や研究施設などでの放射線障害防止法、こうした施設からの放射性物質の廃棄物処理などを所管している。

福島県全域を対象にした土壌調査がはじまったのは原発事故から2カ月以上もたった5月下旬で、担当するのは文科省となっている。調査に関する文書には“汚染”という言葉はなく、文科省にとってはいまだ合法行為との認識に立っている。


筑波大が汚染マップ初公開!

省庁間の縄張り争いが続くなか、筑波大学の調査チームは6月13日、関東の広範囲にわたる実測による放射性セシウムの土壌表面密度マップを文科省に先駆けて公開した(41頁・図1)。

「残念ですが、茨城県と千葉県の一部地域で、放射線を専門に取り扱う当研究施設より野外の汚染濃度が高くなっています」
こう語るのは、調査を主査する筑波大学の末木啓介准教授(アイソトープ総合センター)だ。

土壌サンプルを採取した地域は、福島県北部から茨城県全域、栃木県東部、千葉県北部、一部東京都を含む東西130km、南北220km。サンプル数は110カ所で、3月下旬から5月初旬にかけて国道沿いの空き地を中心に土壌を採取した。放射性物質が拡散した3月29日時点に合わせた表面密度に数値を換算し、汚染状況を明らかにした。

「放射線防護対策の基本はどの核種の放射性物質がどこにどれだけ降下したか、データで把握すること。福島県の調査は国がすぐにやるだろうと思い、3月下旬から茨城県を皮切りに計測を開始した」(末木准教授)
これまで国の土壌汚染マップは原発から80km圏内に限定したものしか公に発表されていなかった。しかも、米国エネルギー省の協力のもと文科省による航空機からのモニタリング計測での推定マップで、土壌の実測による公的研究機関からの発表ははじめてとなる。末木准教授の発表から数日後の6月16日、文科省は計測済みであった120km圏内の航空モニタリング結果をようやく公表した。

筑波大の調査により、福島県外でも一部地域の土壌から検出された放射性セシウム137の値は4万Bqで、チェルノブイリ事故後のソ連による汚染区域の最低基準ライン3万7000Bqを超えていることが判明した。

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