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“被曝農業時代”を生きぬく

初判明! 放射性セシウム濃度、栃木・茨城・千葉・神奈川・群馬の一部農地“チェルノブイリ汚染地域”と同等レベル


関東圏でもっとも高い栃木県(最高値の那須塩原市)の場合、1826Bq/kg×300=約55万Bq/平方メートルとなる。これはチェルノブイリ基準の厳重放射線管理区域(一次移住)に相当する。

群馬県の最高値(下仁田町) は569Bq/kgで、平方メートル当たり17万700Bqとなり、チェルノブイリ基準の高汚染区域(18万5000Bq以上)に近い数値と推計される。

茨城県、千葉県、神奈川県の最高値は、それぞれ496Bq(龍ヶ崎市)、301(成田市)、202(相模原市)で、いずれも平方メートル当たり3万7000Bq以上で、チェルノブイリ基準の汚染地域に相当する推計結果となった。

冒頭で述べたとおり、国が定める放射線管理区域を上回る汚染密度が広範囲の農地で広がっていることを示している。

農地の放射線管理基準を今後、どうするのか。文科省に取材したところ、「野外の設定基準を設ける知見を有していない。現状の原発敷地内や病院や研究施設といった屋内の管理区域における4万Bq/平方メートルという基準値自体の根拠でさえも、1960年代に決まった古い話なのでわからない。忙しいので、外郭団体に聞いてほしい」との回答があった。

自らが規制・管理している基準の意味さえ説明できないというのだ。

チェルノブイリ基準の汚染区域の設定根拠は明確である。汚染密度が3万7000Bq/平方メートル以上の地域では、国際的な年間の被曝線量限度1mSvを超える恐れがあるため設定される。したがって、汚染区域の区切り毎の意味は以下のとおりだ。14万8000Bq/平方メートル÷3万7000Bq=年間の被曝線量4mSv、55万Bq÷同=約15mSv、1480000÷同=40mSvである。


汚染濃度別に区域分けせよ

根拠が明確だから、目標も明確である。前号の特集で紹介したとおり、旧ソ連3各国ではそれぞれの汚染区域で年間の被曝線量限度1mSvを下回ることが目標だ。農業技術を用いた防護・除染対策を講じ、低減度合に応じてより厳しい農産物の暫定規制値が定められていったのだ。“風評被害”対策ではない。

原発事故から4カ月。日本でも現実の実害を下げていくためお対応を始めるときだ。前提として、決して「フクシマ問題」にしてはならない。汚染濃度別に区域分けし、福島と千葉で同じ汚染度の地域なら「第二汚染区域について」といった議論にすべき。地域の名称ではなく、すべてファクト・ベースで、放射性物質の低減、封じ込め計画を立て国民に情報公開をすることが重要だ。

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