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【フーテン人生の無邪気な視点】
豊かな国、日本
- マック木下
- 第1回 2011年07月15日
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通算で20年、人生の5分の2を海外で暮らして来た。たまに日本に帰ると、日本は世界のどの国よりも豊かだなあと思う。しかし、国際理解講演の場で、あるいは居酒屋に集まってくれる日本国内派の友人たちに、そんな話をしていると意外な顔をされる。読者の皆さんも意外に思うのだろうか。
日本の場合、豊かさに多少の地域差や個人差はあっても平均的な水準が高い。食材などの消費財は種類も多く適正価。電化製品、自動車、住設などの耐久消費財は最新安価で何でも揃うし、性能も抜群である。そして、何よりも自然が豊かだから、自給食材も豊富だ。生物多様性の面で見ても、日本列島ほど動植物の種類と絶対数が集中する地域は世界でも比類ない。
和食材料には明確な地域性があり、且つ季節感がある。ご当地グルメや旬を手軽に楽しめるというのは、世界でもかなり稀で贅沢なことだ。逆に、日本人の海外旅行に同行して困るのは「ご当地グルメは?」と聞かれること。ないわけではないが、海外で手軽には味わえない。
一方、エネルギーや資源の面で言えば、日本は「持たざる国」と教育されてきた。今回はその真意を説かないが、資源の豊かさが優先されるようになったのは、英国で産業革命が始まり、功利主義経済が拝まれるようになった200年に満たない最近の歴史だ。黒船が来るまでの日本は、人が暮らして行くだけなら十分豊かな自然資源を備えていた。
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マック木下
ゼネコン、商社、航空旅行業、世界的弱電企業などの国際畑で育ち過ぎた50代。1980年代から主に英国に住み、英人が本名をちゃんと発音できなかったので、いつしかマックに。ジャンルには無節操なライターで、執筆歴は10年間ほど。専門は日英関係史とロンドンの歴史散歩。寄稿先は『英国特集』『R.S.V.P.』『Quality Britain』『Taste of Britain』『未来教室』『ぼんじゅーるレマン』のほかミニコミや会員誌など。
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