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【北海道長沼発ヒール・ミヤイの憎まれ口通信】
イモ食って日本幸福(降伏)?
- 西南農場 代表取締役 宮井能雅
- 第39回 2011年07月15日
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「日本は負けたのだから、我慢しなさい」
日系2世で93歳、岩国なまりのおばあちゃん、スーから今回も多くのことを学ぶことになった。米国生まれで、生後すぐ両親と日本に帰り、18歳まで広島の岩国で育ったが、大戦前にあの巨人軍の米国遠征の船で、たった一人で姉を頼り米国に帰ったので、のちに帰米2世と呼ばれた。しかし話す言葉はLとRは使い分けが難しいと言い、パープル(紫色)をプロポーと発音するくらいひどいが、真冬でも日中は20℃を超えることがあるLA近郊の自宅では日本のTV番組も見ていたりする。
今年1月下旬のある時、2人でNHKニュースを見ていたところ、突然、典型的なアクセントがある日本語で「ミヤイさん、TPPって何だろね?」と聞かれた。高齢のおばあちゃんに細かいことを説明しても大変なので、簡単に「自由貿易のことだよ」と答えた。するとスーは再びこのような質問をした。
「え? まだ米国と日本は自由貿易をやっていなかったの?」
もう一度、簡単に今回のTPPは日本農業に一番影響があるといわれている点、肉、酪農製品の関税制度、大豆は自由化されているが、麦は実質国家管理であることなどを説明したが、やはりイマイチ理解できない様子だった。
ここでスーが経験した日本食について説明しよう。スーは戦後3回日本に行ったことがあり、日本食について、よくこんな話を聞かされた。
「そうよね、日本の食事は貧しいからね、時々日本に行って食べる日本食よりも米国の日本食の方がおいしいでしょう?」
確かに限られた食材で英知を絞って出される日本国内の日本食よりも、米国中の食材が集まり、中には日本でも見たことのない日本食材と、ドカーンと出される肉の方が魅力的だ。
スーは、我慢してコレステロールが少なくて味気のない日本食よりも、毎朝食に出される分厚いベーコンにスクランブル・エッグを食べれば、私のように長生きできますよ、と言いたかったのかもしれない。今ではスーが住むこの地帯の日系人は少なくなり、韓国系が幅を利かせる様になったが、時折出会う2世、3世の高齢の方たちは日本の同年代よりも元気が良さそうだ。
そしてこんな過激なことも言う。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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