記事閲覧
【特集】
水稲育苗の技術と経営
遅れた機械化をどう克服するか
- 編集部
- 1995年04月01日
- この記事をPDFで読む
播種プラント、育苗器、ハウス、その他のハンドリング機械などの周辺機器を積算してみても、同じ面積の収穫調製を請負う場合と比べて苗販売に必要な機械投資はそう大きくない。今後、育苗を外部に依存する兼業農家は増える可能性が高いこともあり、「水稲の育苗ビジネスは農業サービス業として魅力のある仕事にはなり得るか?」を考えて特集を組んでみた。
特集の企画にあたって事前の聞き取りをしたところ、本誌読者で苗販売をしているという人は、「隣近所の苗をついでに育苗してあげている」というレベルから育苗センターとして事業化して3~4万枚を超すレベルまでさまざまであった。しかし、苗生産を専業的に行うケースは稀で、ほぼ全ての人が自分で使用する苗の一部を販売しているというものだった。
その理由は、苗の需要はかなりあるが、5月の連休中に注文が集中してしまうことが問題で、作業段取りが取れないこと。苗販売を単独で伸ばすというよりは、借地あるいは代かき・田植えごと作業を請負う形にした方が必要労力を均すことができ経営効率が良いという人が多かった。
また、苗販売をするのは、それをきっかけに借地や請負いを広げることを考えていたのだが、頼まれついでにやっていたら数千箱を売るようになづてしまったというケースもあった。
ところで、育苗に関する機械投資額が相対的に小さく見えるのは、実は、育苗作業の機械化の遅れに由来している。稲作作業の中で唯一機械化が残され、人手による重労働によって作業がまかなわれているからなのだ。現在の苗販売ビジネスとは、人の嫌がる重労働を人手不足の中で引き受けることで、自らの肉体労働力を売っているのだともいえる。
苗の販売価格は、地域によっても異なり、また購入者がハウス内から自分で搬出していく場合から庭先配達付きまで様々であるが、本誌が聞いた範囲では稚苗1箱が、ハウスからの持出しは農協職員がきて農協経由で販売する場合で680円、庭先配達付きで900円まであった。
その地域の苗の価格は、農協育苗センターの販売価格が地域の標準になっている場合が多い。
苗販売である程度の収入を上げるのは、1箱800円だとすれば1000箱で80万円、5000箱で400万円。本誌が聞いた4000箱を作る人の場合では原価率50%程度だという。
需要が連休に集中する地域は別として、合計4000~5000箱、1回当たり1000箱以下の処理であれば仕事はキツイが夫婦プラス臨時雇用1~2人の労働力があれば1ヶ月で300~400万円の売上げは上げられる。自家用の苗生産があることも考えねばならないが、できないことではない。
そのレベルで必要な装備は、播種プラントは箱積み上げ機の付いた2250箱/時くらいのものでかまわない。しかし、培土(フレコン)、苗箱のハンドリングのためにフォークリフト、それに緑化ハウスヘの展開のためのハンドリング手段は必要だ。それ以上の箱数になると労働力調達の面で問題を抱える人が多い。
苗販売は請負いの営業手段
特集の企画にあたって事前の聞き取りをしたところ、本誌読者で苗販売をしているという人は、「隣近所の苗をついでに育苗してあげている」というレベルから育苗センターとして事業化して3~4万枚を超すレベルまでさまざまであった。しかし、苗生産を専業的に行うケースは稀で、ほぼ全ての人が自分で使用する苗の一部を販売しているというものだった。
その理由は、苗の需要はかなりあるが、5月の連休中に注文が集中してしまうことが問題で、作業段取りが取れないこと。苗販売を単独で伸ばすというよりは、借地あるいは代かき・田植えごと作業を請負う形にした方が必要労力を均すことができ経営効率が良いという人が多かった。
また、苗販売をするのは、それをきっかけに借地や請負いを広げることを考えていたのだが、頼まれついでにやっていたら数千箱を売るようになづてしまったというケースもあった。
労働力を売る育苗商売
ところで、育苗に関する機械投資額が相対的に小さく見えるのは、実は、育苗作業の機械化の遅れに由来している。稲作作業の中で唯一機械化が残され、人手による重労働によって作業がまかなわれているからなのだ。現在の苗販売ビジネスとは、人の嫌がる重労働を人手不足の中で引き受けることで、自らの肉体労働力を売っているのだともいえる。
苗の販売価格は、地域によっても異なり、また購入者がハウス内から自分で搬出していく場合から庭先配達付きまで様々であるが、本誌が聞いた範囲では稚苗1箱が、ハウスからの持出しは農協職員がきて農協経由で販売する場合で680円、庭先配達付きで900円まであった。
その地域の苗の価格は、農協育苗センターの販売価格が地域の標準になっている場合が多い。
苗販売である程度の収入を上げるのは、1箱800円だとすれば1000箱で80万円、5000箱で400万円。本誌が聞いた4000箱を作る人の場合では原価率50%程度だという。
連休需要をどうするか
需要が連休に集中する地域は別として、合計4000~5000箱、1回当たり1000箱以下の処理であれば仕事はキツイが夫婦プラス臨時雇用1~2人の労働力があれば1ヶ月で300~400万円の売上げは上げられる。自家用の苗生産があることも考えねばならないが、できないことではない。
そのレベルで必要な装備は、播種プラントは箱積み上げ機の付いた2250箱/時くらいのものでかまわない。しかし、培土(フレコン)、苗箱のハンドリングのためにフォークリフト、それに緑化ハウスヘの展開のためのハンドリング手段は必要だ。それ以上の箱数になると労働力調達の面で問題を抱える人が多い。
会員の方はここからログイン
編集部
水稲育苗の技術と経営
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)