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特集

水稲育苗の技術と経営
遅れた機械化をどう克服するか

 どちらにしても、苗販売は地域の条件に左右される面が多く、苗出荷のピークが崩せるか否かがポイントである。そして、長くても1ヶ月間の商売であり、導入施設の汎用利用、労働力調達が最大の問題であるようだ。そう考えると、苗の販売は「苗販売業」として特化するのでなければ、多くても4000~5000箱を1つの目安に考えるのが妥当なラインなのかもしれない。

 さて、このように育苗を考える場合、その労働は稲作機械化に残された最大の課題である。そこで、まず育苗作業省力化の工夫と問題点について三重県農業技術センターの横山幸徳氏に解説をいただき、作業システムの開発事例を紹介いただいた。

 さらに、三つの経営体をケーススタディとして取り上げてみた。大規模に水稲育苗をする経営者は、滋賀県の瀬川氏、茨城県の横田氏、新潟県の笛木氏の三氏である。それぞれ地域的条件、目指している農業経営のスタイル、労働力事情などが異なる。また、それぞれに育苗労働軽減の工夫があり、同時に問題も抱えている彼らを通して苗販売ビジネスの可能性と問題点を考えてみたい。

 また、最後に苗の緑化ハウスへの展開を省力化する商品技術を一部紹介する。


育苗施設の現況と今後の方向性を探る
三重県農業技術センター 経営部 農業工学担当 主幹研究員 横山幸徳



育苗施設の現況

 一般的に大規模稲作における作業競合は、播種・育苗~代かき・田植え作業と収穫・乾燥調製作業の場面で生じる。特に、播種・育苗~代かき・田植え作業は組人員を多く必要とする作業であり、育苗箱のハンドリングが労働強度の高い作業である。

 播種・育苗作業においては、催芽機・播種機・播種プラント・育苗器・濯水装置等が各メーカーから市販されている。 その他の周辺機械としては、砕上機・肥料混合機・苗箱洗浄機・脱芒機等があり必要に応じて購入できるようになっている。

 播種機では、簡易的播種機、播種・覆土機、播種・濯水・覆土機、土入れ・湯水・播種・覆上機等が市販化されており、個々の栽培面積・経営規模に応じた機械の選択が可能である。土入れ・濯水・播種・覆土機までの一連の機械はミニプラントであり時間当たり600箱処理ができる性能である。もちろん各作業に対応した組人員が必要となる。

 中規模育苗施設としては土入れ・渥水・播種・覆土機まではミニ播種プラントで対応できるが、さらに大量育苗処理するには、農協等の育苗センターに導入されている全自動の播種プラントが必要となる。

 ミニ播種プラントと全自動播種プラントとの大きな違いは、苗箱の装填と播種後の苗箱運搬台車への自動供給といった苗箱のハンドリングの自動化の有無であり、苗箱の装填、播種後の苗箱運搬を機械でするか人力でするかの違いである。当然、組人員としては2名の削減が可能となる。さらに、全自動播種プラントとセ。トになっている機械・施設には出芽室(一般的には蒸気式)、自動濯水装置を有する育苗室(緑化室)等がある。

 しかし、出芽室への苗箱運搬台車の搬入、出芽室から緑化室への台車の搬出搬入、緑化室から育苗ハウスヘの台車の搬出搬入、育苗ハウスヘの苗箱展開作業はすべて人力である。したがって、一連の播種の機械化・自動濯水装置けき育苗室等は自動化されているものの、苗箱運搬台車の移動等苗箱のハンドリンクについては人力作業である。

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