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特集

水稲育苗の技術と経営
遅れた機械化をどう克服するか

【育苗器廃止の作業体系が 8300箱の育苗を実現】

 湖南農産の創業は平成2年。現在社員はいずれも20代の6名で、他にアルバイト2名が在籍する。社員のうち1名は農機メーカー勤務の経験があるものの、全員実際の農業の経験はなかった。瀬川さんは「全然知らない方が一生懸命」と笑い、社員の顔ぶれには満足そうである。

 ところで苗販売はその創業時から行なっていたわけではない。というのは、育苗器の能力から言って、販売するだけの苗を生産するのは無理だったのだ。 

 「育苗器を使用していた頃は1回に500箱、1シーズンに3000箱作るのがやっとだった。といって、苗販売のために新たに育苗器を買うという設備投資をするわけにもいかない」(瀬川さん)

 それを倍以上の8000箱を上回る量の育苗を可能にしたのは、ジルバ上フブというシートを用いての作業体系の見直しだ。このシートは遮光性のシートと透光性のシートを組み合わせた保温被覆材の一種で、これを駆使して、育苗器での出芽という作業を、そっくり廃止してしまったのである。では湖南農産の育苗作業の手順を見てみることにしよう。

 湖南農産で作る苗は、日本晴が種籾で180kg以下同じくコシヒカリ96kg、キヌヒカリ48kg、モチ12kgの4種類。播種の8日前、まず種籾の消毒を行ない、翌日から浸種に入る。催芽は播種の2日前で、これは水槽の水を30度に保ち、催芽ポンプで酸素を供給しながら行なう。ここまでの作業は、自宅の倉庫で行なっている。なお種籾と培土は、いずれも購入したものを使う。

 「自前で用意すればコストダウンにもなるが、売り物であるだけに、絶対失敗できない。万全を期して、購入したものを使うようにしています」(瀬川さん)

 播種作業は、自宅からは離れた圃場に作ったハウスの前で行なう。ハウスの入口には、コンクリートを流し込んだ作業場を作っているが、ここはとくに倉庫のようなものがあるわけでなく、雨よけのハウスの中に苗箱が積まれ、播種機と道具類がいくつか置いてあるだけだ。

 播種機は毎時300箱の処理能力のものを1台使用しており、苗箱の積み上げ機等は使っていない。そこで、繰り出されてくる苗箱は、6名の社員と学生などの臨時を含むアルバイトとでせっせと20 箱積みの台車に積み上げる。間口5mx奥行90mx4棟のハウスはそれぞれ中央にレールが敷いてあり、苗箱を積んだ台車はすぐにそれを使ってハウス内に導入される。

 ここがポイントだが、湖南農産では播種後の苗箱をすぐにハウスの中に並べてしまうのである。育苗器を使ったり、苗箱を積み上げたままでの出芽という行程が、そっくり省かれているのだ。

 「苗箱をハウスに入れて、並べるそばからどんどんジルバ上フブで覆っていく。その状態で出芽させます」(瀬川さん)

 県内でもかなり温暖な気候という暖地だからできることだろう。この方法による最初の年は総育苗数3000箱のうちの500箱で実験したが、翌年には全面的に導入した。出芽が成功したのはもちろん、作業効率が飛躍的に向上したのだ。育苗器への出し入れがないばかりか、かさばる苗箱を自宅からハウスまでトラックで運搬する必要もなくなった。

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