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特集

水稲育苗の技術と経営
遅れた機械化をどう克服するか

 そしてなにより、処理能力が育苗器の容量に左右されなくなった点が重要である。これによって初めて、自社使用分以上の苗を作り、苗販売を考えることができるようになったからだ。

 ジルバ上フブで覆っておくのは播種後 10日間くらいで、その間に1度かん水する。その後はアルミ箔片入りの銀色のシートだけめくって保温、育苗を続ける。出荷は30日後で、自社分は毎年5月5日から水田に移植する。

 販売する苗は1箱800円。瀬川さんはその原価(含人件費)を536円(今年度)とはじいている。うちジルバ上フブは減価償却費として計上されており、500枚2万円で人手したものを5~6年耐用と考えているから、育苗器を買い足すことと較べるまでもなく、かなりの低コスト化か実現されていると言える。

 さて育苗終了後のハウスだが、これは圃場の中に水田と同じ高さで作っているため、田植え後は水没してしまう。米の納入先のレストランなどから、施設野菜を作ってほしいと要望されることもあるが、現在のところ育苗ハウスを厄の栽培に活用することは考えていない。26町歩の水田をみる手間と、まったく別の作業体系の施設野菜の栽培を両立させるのは、湖南農産の体力を超えると考えている。育苗も同様で、「場所さえあえば1万箱でも作れる」が、この分野を無理に拡張する必要もないといテ考えだ。

 「水田作業の請負なども増やしていく考えはあるが、まず米の流通と、稲作の指導に専念していかねば」(瀬川さん)

 守備範囲をはっきりさせ、若い社員とともに、会社としての営農を着々と育てていきたい気持ちを語る。

瀬川昌彦さん(せがわ・まさひこ)
昭和31年12月2日生まれ
滋賀県草津市矢橋町1631-1 TEL.0775-66-1220
平成元年まで農協に勤務。15年間カントリエレベータ運営に携わってきたが、米流通に対する自身の考えを実現すべく湖南農産(株)を設立。後継者育成に努める。


ケース2 横田章一さんの場合


【苗販売は割に合わない】

 横田さんの場合、毎年4000箱の苗を作っているが、苗販売はほとんど行なっていない。地域の育苗センターで間に合わない場合だけ、頼まれて200~300箱の苗箱を販売するだけである。この地域の苗は1箱780円。培土は20kgで580円のものを買っているので原価計算をすると50%ほどだが、失敗もあるので販売するには割りが合わないという。

 4000箱の苗のうち、自作農地1町4反、借地を含めて10町歩の圃場に2000箱、残りの2000箱は請け負っている圃場に使う。請け負っているのは収穫のみの圃場が10町歩、耕起からの田が 10町歩ほどである。主な労働力は章一さんと奥さんの京子さん(40歳)。播種をするときには従兄弟の明さんに応援を頼む。

 「苗箱に播種して育苗室に入れるまでどうしても3人の手が必要」だという。しかもそれぞれに重労働の部分が多く残っている。いろいろ改造は施して作業の軽減は図っているものの、現状のままではこれ以上の育苗は難しい。

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