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新・農業経営者ルポ

従業員1人当たり500haの農場経営を目指す

欧米の農家にできてなぜ日本でできない? カナダで研修した農場のボスから「『1人当たりの利益をどう上げるか』にこだわれ」と教わった。そこでの1人当たり負担面積は500haだった。気象条件をはじめ様々な理由をつけて日本では規模の限界が語られる。しかし石山直貴はそれにチャレンジしている。現在の(有)石山農場は彼だけで175haを経営している。そして、石山はそれを500haまで拡大しようとしている。取材・文/昆吉則・加藤祐子

 1人当たり作業負担面積500ha。経営規模を500haに拡大するというのではない。基幹従業員1人当たりの責任作業負担面積を500haにしようというのである。それが石山直貴(43歳)の目指す農場だ。ホラ吹きと言われるので、いつもは300haと言っている。

 (有)石山農場の耕作面積は現在175ha。不作だった昨年の売り上げは1億2000万円。これまでの最高は1億4000万円だった。人口約8000人、総農地面積6000haという北海道の本別町では、石山以外には100ha規模の農家が数軒あるだけで、平均経営規模は30ha弱。175haという耕作規模は本別町内では群を抜いて大きい。しかも季節的な臨時雇用を除けば作業は基本的に石山が1人でこなしているのだ。

 小麦84ha、加工用バレイショ50ha、大豆34ha、ビート7ha。小麦の収穫・乾燥・調製も50haの加工用バレイショの収穫作業も全て自己完結し、それ以外に麦の収穫・乾燥の作業受託もしている。本別町内はともかく、石山以上に耕作規模の大きい農場はほかにもあるが、175haを1人でこなしているというケースを筆者は知らない。

 臨時の労働力はバレイショ収穫時の出面さん数名。バレイショのコンテナ運搬は運送業者に委託。堆肥散布などの簡単な作業にだけ本別町内にある北海道立農業者大学校の学生をアルバイトとして使う。

 妻の郁恵(44歳)は麦の収穫時などに乾燥施設内でフォークリフトの作業を手伝うくらいで基本的に農作業はしない。ただし、高校3年生の長男・治臣(18歳)は、石山の後を追って小学生の頃からコンバインやトラクタに乗っていた。既にベテランの域に達した機械の使い手だ。機械整備も石山より「技術レベルが高い」という。学校が休みの日には頼まなくともツナギを着て仕事に出てきてしまう。

 石山の農業経営感とはどのようなものなのか。

 「農家は儲からないと言う人がいますが、どうしたら1人当たり、労働時間当たりの利益を上げられるかを考えていないからではありませんか。規模拡大も機械化も利益を上げるための手段。規模を拡大しても工夫すれば面積はこなせるもの。その雇用がどれだけの利益につながるのかを考えない。他の先進国の農業経営者なら当たり前に誰でも考えることでしょう。家族農場であればこそ肝心なことのはずです。機械化にしても、機械の購入価格は気にするのに、どれだけの投資効果があるかは考えようとしない農家がほとんど。海外から機械を買ってくるのは、仮にそれが5年使用した中古であっても、自分の目指す経営規模でやるなら畑作の国で育った機械の方が能率も耐久性も高く、投資効果が高いからです。何を考える上でもまず経営者である自分1人で何が可能なのかを考えるべきでしょう」

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